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村田製作所がRPA・AI本格活用、間接業務にも工場にも

年度内は84人の技術者養成
村田製作所がRPA・AI本格活用、間接業務にも工場にも

10億円を投じ、データ基盤を構築する(出雲村田製作所)

 村田製作所は業務改善に向けて、RPA(ソフトウエアロボットによる業務自動化)と人工知能(AI)の活用を本格化する。関連するデータ基盤の構築に今後3年間で10億円程度を投じる。RPAの利用を推進するため、2018年度中にも84人の担当技術者を養成する。業務内容が定型で繰り返しが多い間接業務を中心に運用し、効率を高める。生産部門に取り入れているAIは領域を広げていく方針だ。

 同社の積層セラミックコンデンサー(MLCC)は、自動車の電装化や高度化、IoT(モノのインターネット)の普及などを背景に需要が急激に増えている。同社はMLCCへの対応に経営資源を集中していることもあり、業務の効率化を加速中。仕事の標準化やRPA活用の効率化などと併せて、高度なIT技術を持つ人材も積極採用する方針だ。

 同社は現在、RPAを生産、営業、経営部門の10―20の業務に導入。主に納期の調整や人事データの登録、受注情報の処理といった基幹管理システムを経由する間接業務で、適用を拡大する業務内容を詰めている。

 従来、納期調整や受注情報処理は、製品の需給が逼迫(ひっぱく)した際、人手を介した基幹管理システムによる対応が間に合わないなどの課題があった。RPAを使うことで、新たな人手を要せず対応できるなど効果が出てきた。RPAの活用を広げ、一段の効果を引き出す。

 工場はMLCCの国内主要拠点である出雲村田製作所(島根県出雲市)と福井村田製作所(福井県越前市)などでRPAの運用を始めた。出雲村田は月1272時間相当の納期調整業務をRPAに置き換えた。AIは画像認識により、MLCCの良品と不良品を見分ける技術に使うなど約20テーマの業務で活用を始めた。さらなる領域の拡大を検討する。
日刊工業新聞2018年10月5日

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