外食向け低価格ロボで進出する中国企業、日本市場を重視する理由

パンゴリン・ロボット・ジャパンの丁勁松社長インタビュー

 パンゴリン・ロボット・ジャパン(東京都調布市、丁勁松社長、042・426・8050)が、価格を約100万円に抑えた外食産業向けロボットを国内市場に投入する。低価格を武器に、2019年には数千台の販売を目指す計画だ。親会社の中国・パンゴリンは江蘇省崑山市で面積4000平方メートルの工場と2500平方メートルの研究開発センターを擁し、年5万台のロボット生産能力がある。丁社長に日本進出の狙いを聞いた。

―日本へ進出した狙いは何ですか。

「日本は産業用ロボットの生産で世界一であり、関連技術に優れている。市場規模も大きい。日本で商品が売れれば当社にとってステータスになり、中国や他国の販売でも追い風になる」

―産業用ロボットは確かに日本は世界一ですが、自動車など製造業向けが大半で、サービスロボットは遅れているとの指摘もあります。サービスロボットでは中国企業の方が進んでいませんか。

「中国でもサービスロボットの市場は立ち上がり始めたばかりだ。これから伸びると思う。人件費の上昇、人手不足の悩みなどは日本と同じだ。欧米ではホテルや外食などで、サービスにロボットを使うことにはまだ抵抗感がある。日中の方がハードルは低い」

―製造業と違い、サービスなど非製造業は資金力のない中小企業が圧倒的に多いのが現実です。例えば、農業や介護の現場ではロボットが1台150万円を超すと売れないと言われています。

「サービスロボットにとって、低価格は何にも増して重要なポイントだ。故障や安全性に難があればもちろん問題外だが、精度はさほど必要とされていない。配膳でコップの位置が1ミリメートルずれたとか、そんなことに目くじらを立てる客はいないだろう。我々の開発コンセプトは、まず最初に価格ありき。次は価格に沿って製品をどう作り込んでいくかだ」

―国内家電メーカーの昔の歴史を見ているような気がします。『高性能・高精度だけど値段が高い』との指摘がありました。

「日本の部品メーカーでも安くて良い製品を作るところはたくさんある。我々はそうした企業と取引がしたい。それによってさらにコストを下げられる。サービスに対する、日本の消費者の要求レベルの高さは開発にとっても参考になる。日本人消費者に受け入れられたサービスロボットならどこでも売れる」
(聞き手・嶋田歩)

日刊工業新聞2018年10月2日

日刊工業新聞 記者

日刊工業新聞 記者
10月03日
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日本のロボット産業は生産額、生産台数ともに世界一だが、最近急速に力を付けてきているのが中国だ。日本のロボットもかなりの台数が中国向けであることに加え、中国政府の手厚い支援があることも忘れてはならない。サービスロボットは人との協調が要求されるなど産業用ロボットと異なる要素が多い。日本企業にもメーカー本位でない、顧客目線の開発が求められる。(日刊工業新聞社・嶋田歩)

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