農業用ドローンの規制緩和急ぐ

農水省、3月にも指針改定。免許のあり方柔軟に

 農林水産省は農林水産業での飛行ロボット(ドローン)の活用推進に向け、規制緩和を急ぐ。最近1―2年のドローン技術進歩や海外先進国の動きなどに対応。現行ガイドライン(指針)の不十分な点を改め、省力化を求める農業現場の声に応えながら農業の競争力を強化する。ガイドラインは早ければ3月末にも改定したい方針だ。

 具体的には、自動飛行を前提とした安全対策規定をガイドラインに追加するとともに、機種ごとに免許が必要な現行制度についても改善する。

 現在のガイドラインは安全対策のためドローンを飛ばす際、操縦オペレーターとナビゲーターの2人が必要。省人化の障害となっている。

 ナイルワークス(東京都渋谷区)やエンルート(埼玉県朝霞市)など国内複数企業が無人で自動飛行できるドローンを開発済みで、中国など海外では自動飛行ドローンが普及している。機種ごとに必要な免許についても、ドローン技術進歩の中で、新機種や新機能の普及を阻害している面がある。安全対策の重要さを踏まえつつ、国土交通省と連携しつつ運用面の改善を急ぐ。

 自動飛行や農薬の自動散布システムが進むと、作業効率や人手不足問題を改善できる。オペレーターの手動操縦では作業中は付きっきりで疲労が激しいほか、上手な人とそうでない人で出来の差が大きい。

 この差は農薬・肥料の散布量や作物の生育に直結する。自動化ならば作業を平準化でき、若い人も行えるため現場普及が進む。

日刊工業新聞2018年1月5日



住化、ナイルワークスに出資


 住友化学はドローン(飛行ロボット)で農業の効率化を目指す。その一環として、10月に農業用ドローンベンチャーのナイルワークス(東京都渋谷区)への出資を決めた。ドローンを活用して、田んぼへの種まきから作物の生育管理、農薬・肥料散布まで完全自動化するのが提携の最終目標だ。

 「ナイルワークスはコメなどの作物の生育監視のためにデータを蓄積しており、画像解析のアルゴリズムを今まさに開発中」と住友化学・企画部長の水戸信彰執行役員は創業3年弱のベンチャーの特徴を語る。

 搭載カメラにより作物の株単位で生育状況を監視し、その色や形状などから判断して必要な農薬の散布を自動で行うようにする。開発途中のアルゴリズムは実際に栽培現場で検証する必要がある。ただ検証作業は1年で済む話ではなく、数年がかりで膨大なデータを収集して試行錯誤を繰り返す。

 今後の住友化学とナイルワークスの協業もそのアルゴリズムの実地検証が主になる。住友化学の貫和之常務執行役員は「当社の試験圃(ほ)場が200カ所、生産委託先を含めると1000カ所以上の畑がある。

 同じ水稲でも北から南で環境や土壌が違うのでポイント数を増やして精度を高めていく」とデータ解析・応用の相乗効果を見込んでいる。2018年から本格的な共同検証に乗り出す。

 1株ごとの生育監視を実現するのはナイルワークスのドローン技術だ。センチメートル精度で完全自動飛行し、作物の上空30センチメートルで空中停止できる。イネなどの状況を至近距離で観察可能だ。農家は必要な場所にだけ農薬を散布でき、農薬使用量の低減にもつながる。同社は18年からドローンの試験販売を始めて、19年から本格的に販売する計画。

 日本の農業は課題山積だ。まず高齢化と人手不足の問題は製造業以上に深刻だ。「適宜田んぼの状況を見て次の対策を講じなければならない。生産地の管理が大変になっている。これまで数十人で行っていた作業がドローン1台で済む」(貫常務執行役員)と新技術への期待値は高い。

 また「日本の農業の一番の課題は水稲で、生産量が多くて農家の数も多い。高齢化が進む一方で、規模の拡大が全く進んでいなかった」(同)とし、ドローンの導入もまずは水稲から始める方針だ。

 住友化学はもともと農業経営の「トータル・ソリューション・プロバイダー」を自負している。種苗や農薬・肥料、ビニールハウスのフィルムなどの農業資材以外に、自社の農業法人での農作物の栽培や販売まで手がける。また、独自品種のコメを農家に生産委託して、それを全量買い取って大手コンビニチェーンや外食チェーンへ卸す事業も展開中だ。

 「『農業はクールだ』と言えるような形にしないと、日本で農業の再生はない」と水戸執行役員は言い切る。最先端のドローンが農業のイメージアップにも一役買うか注目だ。
(文=鈴木岳志)

日刊工業新聞2017年11月27日

日刊工業新聞 記者

日刊工業新聞 記者
01月07日
この記事のファシリテーター

農業現場では超低空で農薬散布するドローンを地上散布扱いとし、携帯電話の無線周波数を使えるようにして位置情報を獲得し、精密農業を行いたい要望もある。総務省と協議、調整する。
(日刊工業新聞第ニ産業部・嶋田歩)

この記事にコメントする

株式会社 浦川商事
株式会社 浦川商事
01月08日
ドローンは 様々な分野において 確実に人類を救うと考えられる。日本国は いち早く導入し人材不足を補うべきであると思います。
  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。