連日の日本人受賞なるか、ノーベル物理学賞の有力候補たち

 2年ぶりの嬉しいニュースである。京都大学高等研究院で特別教授の本庶佑さん(76)が、2018年のノーベル生理学医学賞に輝いた。

 受賞業績は、免疫抑制分子『PD―1分子』を同定し、がん治療の新たな薬づくりに道を開いたこと。共同受賞した米ジェームズ・P・アリソン氏も、がん抗体製剤の開発が受賞理由だった。人類最大の“敵”とも言われるがんとの戦いは、ノーベル賞にまことにふさわしい。

 本庶さんは日本を代表する免疫学者として知られ、政府の総合科学技術会議議員をはじめ官民の各種会合で貴重な意見を発信している。かと思えば14年2月の日刊工業新聞のコラムでは「雨だったから予約をキャンセルする人も出た。プレーしている人が少なかった」と、のんびりと週末ゴルフで気分転換する一面を披露している。

 生理学医学賞は近年、12年の山中伸弥さん、15年の大村智さん、16年の大隅良典さんと、日本人の受賞が短期間で続いている。本庶さんも早くから各方面で有力候補と目されてきた。日本の研究者の層の厚さが、世界にも広く知られるようになった。

 きょうは物理学賞、あすは化学賞。日本人受賞が続いても、なんの不思議もない。大いに期待したい。

通電セメントが世界に衝撃


 ノーベル物理学賞は天文学、量子力学、物性物理学など幅広い分野が受賞対象となる。17年は時間と空間の歪みである「重力波」を観測した米国の研究者3人が受賞した。今年はどんな研究が受賞するのか。

 日本では材料やデバイスの開発に強みがある。その中で同賞の有力候補とされるのは東京工業大学の細野秀雄教授だ。液晶ディスプレーに使われる酸化物半導体「IGZO」や鉄系高温超電導体、電気を通すセメントなどを開発し、世界に衝撃を与えた。

 さらに省エネルギーデバイスの実現が期待される研究としては、電気と磁気の性質を備えた「マルチフェロイック物質」を発見した東京大学の十倉好紀卓越教授が挙げられる。また磁石の性質を持つ半導体「磁性半導体」を開発し、高性能で低消費電力の集積回路の実現を目指す東北大学の大野英男総長も外せない。

日刊工業新聞2018年10月2日の記事に加筆

  

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