がん免疫療法とオプジーボの未来

本庶京都大学特別教授インタビュー

小野薬品工業のがん免疫治療薬「オプジーボ」
 今年のノーベル医学生理学賞に京都大名誉教授の本庶佑氏ら2人が選ばれた。日刊工業新聞では昨年、8月に本庶氏のインタビュー記事を掲載している。ニュースイッチで再掲する。

「抗生物質ならペニシリンが発見された黎明期」


 小野薬品工業の「オプジーボ」開発のきっかけは、免疫のブレーキとなるたんぱく質「PD―1」の発見だ。PD―1の働きを阻害して、がんに対する免疫反応を引き出す。PD―1の発見者である京都大学の本庶佑特別教授に、がん免疫療法の可能性を聞いた。

 ―がん免疫療法の現状認識は。
 「がん免疫療法の歴史は始まったばかりで、抗生物質に例えるとペニシリンが発見された黎明(れいめい)期にあたる。米国のがん研究は現在4分の3の成果が免疫関連なのに対し、日本はまだ4分の1。その研究は周回遅れになっている」

 ―課題は。
 「がん治療の現場に免疫の知識がある人材は少ない。従来の抗がん剤とは全く仕組みが違うという認識が必要。半年―1年は免疫が保てるため、効果が出たら投与を中断するべきだ。投与しすぎると、逆に免疫を弱めてしまうこともある」

 ―オプジーボの可能性をどう見ますか。
 「(がんに対する)有効性をもっと高める必要がある。私はリンパ球内のミトコンドリアを活性化することで、治療効果が上がるとみている。それを確認する臨床研究フェーズ1も年内に始める。事前に効果があるかを確認できる、バイオマーカーの発見も必要だ」

 ―がん治療などで革新的な研究成果が生まれるのに必要な事は。
 「革新的な成果は想定外のことから生まれる。それは基礎研究からスタートしているから、起こることだ。政府も企業も研究の選択と集中を重視するが、何に集中するのが適切なのか、分からないのが現実ではないか」

 「また、研究シーズに対する尊敬と還元が必要だ。私は大学と企業のウイン―ウインのポジティブなサイクルを作りたい。オプジーボ関連の還元に関してはまだ合意できていないが、リターンがあればファンドを作り、若手研究者が自由に研究できる資金の使い方のモデルを作りたい」
【用語解説/がん免疫治療とは】
 がん治療において外科手術、抗がん剤治療、放射線治療に続く第4の治療法といわれる。がん免疫治療薬は体内に備わる免疫細胞を活用する。まずがん細胞が免疫細胞にかけたブレーキを解除。それにより活性化した免疫細胞が、がん細胞を攻撃する仕組み。

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オプジーボ 本庶佑

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