日本サッカー協会が“人事部長”を公募した理由

須原清貴氏に聞く

 日本サッカー協会(東京都文京区、田嶋幸三会長、JFA)は組織基盤のさらなる強化に向けて、人事部を独立した組織とするとともに人事部長を公募し、現在、選考を行っている。3月に同協会の専務理事に就任した須原清貴氏にビジネスとスポーツのあり方や、スポーツ競技団体のあり方などについて聞いた。

 ―人事部長を公募した経緯は。
 「当協会は組織の基盤強化のために人事部門の重要性を認識し、これまで管理部などの一部として存在していた人事機能を人事部として独立させることとした。もちろん、これまで人事に携わってきたメンバーには他にやってほしい仕事があるので、そちらに専念してもらいたい」

 ―求める人材は。
 「経営感覚やリーダーシップがある人が第一。人事の経験や知識など何らかの専門性が第二の条件となる。JFAとしての人材を第一に考えるが、各都道府県協会などに対し人事面でのお手伝いができるようにしたい」

 ―民間企業出身者としてどう、協会運営にあたっていますか。
 「フットボールに関する技術的なところは私の領域ではないので、関係者(プレーヤー)が安心して競技に専念できることが前提条件となる。そのために一般事業会社にいた組織運営などのスキルや経験を生かしている」

 ―ボクシングや体操などでパワハラ問題が顕在化するなど、競技団体に厳しい目が向けられています。
 「当協会には会長の任期があり、物事を決めるルールやプロセスがしっかりしているが、改善の余地はある。(協会に)暴力根絶窓口があり、直接電話やメールで相談を受けるルートもある。我々が動かなければならないような重大事象が発生した場合には、再発防止や啓蒙に取り組んでいる」

 ―企業経営とスポーツ競技団体の違いをどう捉えていますか。
 「Jリーグや全国社会人連盟、学生連盟、都道府県協会など、それぞれ置かれている状況が異なる。協会単独で決められることは少ないので、(こうした団体と)コミュニケーションを丁寧にとっていくことが必要だと考える。事業会社はスピードが重要だが、ある程度低速ギアで進まないといけないところがある」

【略歴】すはら・きよたか=91年(平3)慶大法卒、同年住友商事入社。01年同社退社、キンコーズ・ジャパン社長などを経て16年ドミノ・ピザ ジャパン最高執行責任者(COO)、18年日本サッカー協会専務理事。岐阜県出身、52歳。


須原清貴専務理事

(聞き手・宮里秀司)

日刊工業新聞2018年10月2日

宮里 秀司

宮里 秀司
10月02日
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当期利益やROE(株主資本利益率)など明確な数値目標を掲げる企業の経営とは異なる部分も多い。一方でコミュニケーションの重要性やパワハラなどへの対応、組織の活性化といった課題は、企業経営とも重なる。会社にとっての従業員と同様、スポーツでは競技者が第一だということを再認識した。

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