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プロ野球選手も愛用した「ヤバネスポーツ」、破たんの決定打

主力仕入れ先が二つの要請
プロ野球選手も愛用した「ヤバネスポーツ」、破たんの決定打

ヤバネスポーツ公式ページより(写真はイメージ)

 ヤバネスポーツは1924年に創業された総合スポーツ商社で全国のスポーツ用品店を販路に有した。64年の決算で初めて年売上高10億円を達成。同年に開催された東京五輪を記念して矢印に羽が生えたデザインの自社ブランド「矢羽印」を社名に取り入れて、現商号となった。

 72年には東京都墨田区に8階建の新社屋を建設。当時はスポーツ用品の製造も手がけ、読売ジャイアンツなどで活躍したプロ野球選手も愛用していた。「矢羽印」と社名の知名度は広く浸透し「初めて買ってもらったグローブがヤバネだった」という人は少なくない。年売上高が85年7月期には約137億2000万円に達した。

 だが、少子化や大型量販店の攻勢などで90年代後半から売り上げが減少した。2006年には本社不動産を売却。その後も改善には至らず17年7月期の年売上高は約31億7700万円にまで落ちた。

 そうしたなか、18年5月に事態が急変する。「財務状況が脆弱(ぜいじゃく)で懸念材料がある」と、主力仕入れ先の某大手スポーツメーカーが二つの要請をしてきた。

 一つはそれまで8億円だった取引与信枠を将来的に2億3000万円へ縮小すること。もう一つは支払いサイトの短縮だった。段階的に変更していくもので時間的な相談には乗るとしながらも、方針の変更は一切受け入れない態度だった。

 同社の売り上げが約4割を占めていたため、与信枠が削減されれば会社存続が危うくなる。このため、主力取引行に状況を説明してサイト短縮に応じるための新規融資を要請したが、同社が方針を撤回。

 また、18年7月期の決算黒字化が見込まれなければ、新規融資どころか毎年8月に実施してきた運転資金のための短期融資もできないと断られた。結局、7月12日の手形決済の見込みが立たず、同日付で東京地裁へ民事再生法の適用を申請した。
(帝国データバンク情報部)
ヤバネスポーツ(株)
住所:東京都台東区浅草橋2−28−12
代表:村川泰光氏
資本金:9900万円
年売上高:約31億7700万円(17年7月期)
負債:約15億1925万円
日刊工業新聞2018年8月28日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
ウェブサイトのnewsの更新は16年8月が最新でした。今、色々なところで流通の合理化が進んでいます。上手く対応していかなければなりません。

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