【東京五輪】カヌー競技は水中ポンプが支える

鶴見製作所がスポーツ分野に初挑戦

 2020年の東京五輪で、カヌー・スラロームは金メダル獲得が期待される競技の一つだ。葛西臨海公園(東京都江戸川区)の隣接地に設けられる競技会場は国内初の人工競技場となる。カヌー・スラロームの開催を“水面下”の技術で支える企業がある。

 カヌー・スラロームは川の区間内で水流と格闘しながらゲートをくぐり抜けてゴールを目指す競技。16年のリオデジャネイロ五輪の男子カナディアンシングルで羽根田卓也選手が銅メダルを獲得し、アジア大会では連覇を果たした。通常の競技は自然の川を使うケースが多いが五輪ではアクセスや観客の見やすさなどを考慮し、人工コースでの開催が増えている。東京五輪は国内初の人工競技場での開催となる。

 人工コースの肝となるのが水流を生むポンプだ。鶴見製作所の足立宗一郎執行役員ポンプシステム部長は、東京都建設局が実施した入札の参加経緯について、「大型だが、十分に製作可能と判断できたので参加を決めた」と話す。17年10月、6億8300万円で同社が受注した。

 据え付けから試運転まで完了させるポンプの工事期間は19年5月末まで。19年1月末に予定する現地への搬入に向け、米子工場(鳥取県米子市)で予備1台を含めた計4台を急ピッチで製造中だ。

 水中ポンプのベースとなるのがコラム型水中軸流ポンプ。“人工の川”を造るためコース内に口径1350ミリメートル、出力350キロワットのポンプが3台据えられる。計3台で毎秒12トンの水流を生む。ポンプ納入後の保守についても、足立執行役員は「現状、都から要求はないが工事に携わった人員をすぐに派遣できる体制を敷きたい」と力を込める。

 農業用水などの排水機場に据える水中ポンプメーカーの鶴見製にとってスポーツ分野への納入は今回が初。今後の同分野は「採算面も考慮した上で検討」(足立執行役員)となる。ただ国内は五輪会場以外に人工コースができる可能性が低く、海外は「メンテナンス人員の確保が難しいので参画しない」(同)としている。

(2018年9月7日)

日刊工業新聞 記者

日刊工業新聞 記者
09月08日
この記事のファシリテーター

ポンプが縁で鶴見製は7月、普及推進などを目的に日本カヌー連盟と公式スポンサー契約を結んだ。(大阪・林武志)

この記事にコメントする

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。