業務のデジタル化、ニーズが高まる背景とは?
NTTデータグローバルソリューションズ社長・磯谷元伸氏に聞く
**ERP提案活動拡大 製造業の海外展開支援
NTTデータグローバルソリューションズ(NTTデータGSL、東京都墨田区)は、独SAPの統合業務パッケージ(ERP)の提案活動を強化している。SAPのグローバルで共通したERPを導入することで競争力を高めようとする企業を積極的に支援する。特に大手・中堅製造業向けに事業を拡大しており、売上高は年率約25%と高い成長率を誇る。磯谷元伸社長に事業環境と今後の戦略を聞いた。
―ERPの需要が伸びています。
「企業のグローバルなオペレーションを支える基盤として、ERPの導入機運が高まっている。会計システムなどをグローバルで一元化し、競争力を向上しようというニーズだ。単なる業務支援からすべての業務をデジタルで支える基盤へと変わっている」
―なぜSAPのERPを事業の中核にしているのですか。
「日系企業もグローバル化しただけでなく、海外企業をM&A(合併・買収)している。買収した会社はほぼSAPを導入している。そのためグローバルを標準にしようという流れがある。日系企業は企業の活動を見直すビジネスプロセス・リエンジニアリング(BPR)が苦手で、ガラパゴス化してしまう。海外売上高比率が上がれば日本のルールで会計、人事を構築していても事業が回らない」
―具体的に何が変わりますか。
「クラウドなどデジタル化技術で今までできなかったことが可能になっている。会計では月次決算からリアルタイムに見えるようになった。SAPもシステムやソフトウエア構造を変え、生産計画でもリアルタイムでキャッチアップできる」
―売上高の年率成長が高い理由は。
「市場自体が伸びている。もう一つはNTTデータグループとして信頼されている。コンサルティングだけではない。周辺システムや各社の事情も分析し、システムの移行を支援している。運用も重要でSAPに関する事業を一貫して提供する。例えばタイでは、現地のNTTデータのグループと連携するだけではなく、グローバルスタンダードを維持しつつ日系企業の管理方法も知っている。一つの拠点をやると別の拠点も手がける『グローバルロールアウト』で事業を拡大している」
―今後の見通しは。
「売上高は約110億円。成長は鈍化するが、それでも年10%以上の成長は維持する。重要なのは、エンジニアなどリソースを育てること。ベテランによる社内勉強会を実施している。370人のエンジニアを抱えるが不足気味だ。5―6年後には倍以上に増やしたい」
(文=川口拓洋)
NTTデータグローバルソリューションズ(NTTデータGSL、東京都墨田区)は、独SAPの統合業務パッケージ(ERP)の提案活動を強化している。SAPのグローバルで共通したERPを導入することで競争力を高めようとする企業を積極的に支援する。特に大手・中堅製造業向けに事業を拡大しており、売上高は年率約25%と高い成長率を誇る。磯谷元伸社長に事業環境と今後の戦略を聞いた。
―ERPの需要が伸びています。
「企業のグローバルなオペレーションを支える基盤として、ERPの導入機運が高まっている。会計システムなどをグローバルで一元化し、競争力を向上しようというニーズだ。単なる業務支援からすべての業務をデジタルで支える基盤へと変わっている」
―なぜSAPのERPを事業の中核にしているのですか。
「日系企業もグローバル化しただけでなく、海外企業をM&A(合併・買収)している。買収した会社はほぼSAPを導入している。そのためグローバルを標準にしようという流れがある。日系企業は企業の活動を見直すビジネスプロセス・リエンジニアリング(BPR)が苦手で、ガラパゴス化してしまう。海外売上高比率が上がれば日本のルールで会計、人事を構築していても事業が回らない」
―具体的に何が変わりますか。
「クラウドなどデジタル化技術で今までできなかったことが可能になっている。会計では月次決算からリアルタイムに見えるようになった。SAPもシステムやソフトウエア構造を変え、生産計画でもリアルタイムでキャッチアップできる」
―売上高の年率成長が高い理由は。
「市場自体が伸びている。もう一つはNTTデータグループとして信頼されている。コンサルティングだけではない。周辺システムや各社の事情も分析し、システムの移行を支援している。運用も重要でSAPに関する事業を一貫して提供する。例えばタイでは、現地のNTTデータのグループと連携するだけではなく、グローバルスタンダードを維持しつつ日系企業の管理方法も知っている。一つの拠点をやると別の拠点も手がける『グローバルロールアウト』で事業を拡大している」
―今後の見通しは。
「売上高は約110億円。成長は鈍化するが、それでも年10%以上の成長は維持する。重要なのは、エンジニアなどリソースを育てること。ベテランによる社内勉強会を実施している。370人のエンジニアを抱えるが不足気味だ。5―6年後には倍以上に増やしたい」
(文=川口拓洋)
日刊工業新聞2018年9月25日