「空港民営化」全国に広がり。災害時の危機管理など課題も

コンセッションに関心高く「空港の事業は私鉄のビジネスモデルと似ている」

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柔軟な発想で評価が高い仙台空港
 空港民営化の動きが全国で加速している。国土交通省は国が管理する19空港に原則、コンセッション(公共施設等運営権)を拡大する方針を打ち出し、地方自治体が管理する空港にも導入を推奨する。民間の知恵と資金を活用して、空港経営の効率化や空港インフラ活用の最大化を図るのが狙いだ。先行する空港では民営化による運営の改善効果も表れている。

 国内のほとんどの空港は滑走路やエプロン(駐機場)など基本施設の運営管理と、空港ビルや駐車場を管理運営する事業体が異なる。民営化は、滑走路の着陸料や運用時間などを決める運営権を空港ビルと一体で企業などに付与。ビルの収益で着陸料を安くして路線を誘致し、利用を促進するビジネスモデルを成り立たせる。

 民間事業者による国管理空港の運営は2016年7月の仙台空港を皮切りに、18年4月には高松空港でも始動した。先行する仙台空港は「民間ならではの柔軟な発想」(石井啓一国土交通相)に各所から評価が高い。

 仙台空港は東京急行電鉄を中心とする企業体が運営権を取得。新規就航や増便を促進する着陸料の割引制度を導入した。「熱心な誘致」(航空会社幹部)に呼応し、17年はスカイマークが神戸便を再開、格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーションも札幌と台湾の台北に路線を広げた。

 海外航空会社の運休や減便もあったが、17年度の利用旅客数は343万人で、前年度に比べ8・7%伸びた。背景には空港からの2次交通充実に取り組み、利用者の利便性を高めたことが挙げられる。

 東北の主要都市や、主要観光地と空港を結ぶ高速バス網を拡充。さらに、JR東日本とも連携して、東北広域観光のゲートウェイとしての機能発揮を狙っている。

 空港ビルでは国内線保安区域内に商業施設を集積する構想で、利用客が出発間際まで買い物や飲食を楽しめるようにする。見送り客も入場可能とするため、国も規定改正で後押しする。

 民営化時に指揮を執った東急電鉄の高橋和夫社長は「空港の事業は私鉄のビジネスモデルと似ている」との考えを示す。

 コンセッションの実施は試行錯誤だ。国交省は8月に「空港コンセッション検証会議」を設置。今後の案件に向けて、ここまでの検証と改善策の検討に着手。災害時の危機管理体制評価も課題になりそうだ。

日刊工業新聞2018年9月25日

COMMENT

現在、手続きが進む北海道は地方管理3空港を含む道内7空港を一括で民間委託する。札幌への一極集中から、道内各地域に旅客を周遊させるルートを形成できるかも課題だ。そのためには他の輸送手段との連携や地域との連携、特性に応じた創意工夫が不可欠で、どれだけ空港インフラを使って地域活性化に貢献できるかが問われている。 (日刊工業新聞・小林広幸)

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