自動車税めぐる自動車業界と経団連、経産省の考え

消費増税を控え、引き下げへ本気

 日本自動車工業会(自工会)は20日、2019年度の税制改正に向けて軽自動車並みの自動車税引き下げなどを盛り込んだ要望書をまとめた。都内で定例会見を開いた豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は「今年こそ抜本的な税制改正に取り組みたい」と述べた。19年10月に予定する消費増税を見据え「自動車ユーザーのさらなる税負担増は回避すべきだ」と強調した。

自工会


 日本の車体課税は海外と比べて負担が大きいことが課題となっている。そのため、国際的な水準とされる軽自動車の現行税額まで登録車の「税負担を下げるべきだ」と豊田会長は訴えた。

 消費増税により国内の自動車販売台数は約30万台減少するという試算があり、「もう少し(税負担を)下げないと買い替えられないという声もある」と強調した。

 そのほか、通商問題については「過熱しているのは事実だ。問われているのは変化する世界の中で、日本の自動車産業がどう存在感を示していくかだろう」と語った。北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉に関しては「日系企業の北米ビジネスは(NAFTAの)枠組みを前提としている。カナダを含めることでバランスを維持できる」との見方を示した。
(日刊工業新聞 2018年9月21日掲載)

経団連


 経団連は2019年度の税制改正に向けた提言をまとめた。19年10月に予定されている消費税率10%への引き上げを確実に実現するとともに、税率引き上げ後の自動車や住宅販売の反動減を抑える十分な対策を要求。米国が自動車関税の大幅な上乗せを検討するなど先行き不透明な通商問題も横たわる中、自動車税の税率を軽自動車並みに引き下げる需要平準化の必要性を訴えた。

 自動車税と軽自動車税は排気量などに応じて納めるもので自家用車乗用車では排気量1001―1500ccは3万4500円、軽自動車は1万800円。経団連は「軽自動車税を起点に引き下げる」ことを求めた。

 また自動車取得税の軽減や自動車税の初年度月割課税の廃止に加え、期限切れとなるエコカー減税・グリーン化特例の延長などを要望。住宅関連では、住宅ローン減税や住宅取得資金といった贈与特例の拡充などを盛り込んだ。

 一方、デジタル技術で社会課題を解決する「ソサエティー5・0」の実現に向けて、研究開発税制の拡充を訴えた。民間企業の研究開発投資は年13兆円規模と着実に増加しており、税制控除条件が大きいほど効果がある。総額型の控除上限を法人税額の25%から30%に引き上げ、期限切れを迎える控除率10―14%の部分の延長、拡充などを求めた。
(日刊工業新聞 2018年9月17日掲載)

経産省


 経済産業省が要望する19年度の税制改正は、車体課税と事業承継税制が中心になる。特に車体課税は19年10月の消費増税を見据え、抜本的な見直しを求めた。車体課税は自動車税、自動車重量税、自動車取得税に大別される。このうち自動車税は軽自動車税との差が大きすぎる点や、保有期間が長くなると負担感が強まる点を考慮し、引き下げる意向。軽自動車の税率を基準に、普通車の税率を全体的に近づけるイメージになる。

 ただ排気量660ccの軽自動車に対し、普通車は同1000cc以下が起点になるため「軽自動車と一致することはない。ある程度のバランスを考えることになる」(経産省)という。また消費増税に伴う需要変動の平準化策も検討する。前回、増税した後に需要が大きく減ったことから、10月以降にユーザーが取得する段階で、2%の増税分の負担を軽減できるような措置を講じる。このほか重量税では、暫定的な上乗せ税率「当分の間税率」の廃止を要求した。

 一方、事業承継は個人事業主を対象にした「個人版事業承継税制」と、親族外承継を支援する措置を要求。個人版事業承継税制は土地や建物など事業用資産を対象に、資産移転で生じる税負担を軽減する。親族外承継支援では、一定の要件を満たす事業承継ファンドから出資を受けた際も中小企業税制の適用を可能とする要件緩和を求めた。
(日刊工業新聞 2018年9月4日掲載)

梶原 洵子

梶原 洵子
09月23日
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消費増税の影響で自動車販売が減少するのを避けたいという思いは一致しているようです。自工会は毎年、自動車税の引き下げを要望していますが、ついに実現するのでしょうか。

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