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武田薬品が日本人社員をグローバル人材にするために始めること

経営視点や英語力を強化する研修を実施へ
武田薬品が日本人社員をグローバル人材にするために始めること

チームビルディングを目的に壁を登る(日本人向け研修「挑」)

 武田薬品工業は日本人社員をグローバル人材に育てるための研修を拡充する。国内の管理職層が経営的な視点や英語力を強化できることを狙ったコース「拓(ヒラク)」を2019年1月に始める方向で調整を進める。17年度に開始した、入社10年程度の社員向けの「挑(イドム)」など、既存の教育体系との相乗効果も見込む。外国出身の中途採用者を多く幹部に登用してきた点を踏まえ、日本人の成長の機会も確保して意欲を引き出す。

 武田薬品は従来、高い潜在力を持つと判断された若手を5年間かけて育成する枠組み「アクセラレーター・プログラム」を世界で展開してきた。これとは別に、日本勤務者向けの挑や拓を設ける。挑を終了した人材がアクセラレーター・プログラムに進む例はあり得るが、同プログラムの参加者は世界で年間30―40人に限られるため、門戸が狭い。拓を新設することで日本人の成長機会を増やす。

 拓は管理職の「主席部員」以上を対象に、約10カ月間実施する見通し。挑は期間が約半年で、基本的に管理職一歩手前の「課長代理」級向けだが、役職のない若手が参加する事例もある。いずれのコースも参加者は30人程度とし、グローバル経営に必要な視点や、英語で適時に発言できる能力などを身につけさせる。拓を終了した人材には、市場が比較的小さい国の責任者を任せるといった流れを想定している。

 武田薬品は連結従業員の約8割を海外勤務者が占める。社長および、社長へのレポートラインを持つ幹部の計14人で構成されるタケダ・エグゼクティブ・チーム(TET)も、日本人は3人にとどまる。「上のポジションは外国人でなければ取れないとなると、長く勤めている人の意欲が大きく下がる」(人事部門幹部)とみて、日本人社員をグローバル人材に育てる枠組みの充実も急ぐ。
日刊工業新聞2018年9月13日
葭本隆太
葭本隆太 Yoshimoto Ryuta デジタルメディア局DX編集部 ニュースイッチ編集長
経営視点や英語力の強化は必須でしょう。写真を見るとチームビルディングを目的に壁を上る研修もあるとのこと。プログラムの全体像が気になります。

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