アリナミンEXシリーズで約11年ぶりの新製品、市場縮小に武田の危機感
時代にマーケティングを展開、「疲れにあわせて元気を選ぼう。」
武田コンシューマーヘルスケア(東京都千代田区、杉本雅史社長)は4月、第3類医薬品のビタミン剤「アリナミンEXプラスα」を発売した。主力製品のアリナミンEXシリーズでは約11年ぶりとなる新製品。並行して、アリナミンブランド全体の活性化にも取り組む。同社は武田薬品工業の一般用医薬品事業を承継して4月に発足した会社であり、新製品の投入をテコに勢いをつけられるかが注目される。
「ビタミンB2を配合しているのがポイント」。武田コンシューマーヘルスケアの田原光博マーケティンググループ課長代理は、アリナミンEXプラスαの特徴をこう話す。
ビタミンB2は、三大栄養素である糖質・脂質・たんぱく質を細胞内でエネルギーに変換する際に役立つ。従来品の「アリナミンEXプラス」にはビタミンB1誘導体・B6・B12を配合していたが、今回、B2を追加した。
一般的には多くの成分を配合すると品質の低下が発生しやすくなるが、製剤技術の工夫で防いだという。目の疲れや肩こり、腰の痛みがひどい30代後半以降のビジネスパーソンへ売り込む。
田原課長代理は、時代の推移とともに疲れが変化・細分化してきたとも指摘する。例えば、1980年代までは体を動かすことで発生する疲労に対処したいニーズが多かったが、90年代に入るとオフィスにパソコンが登場。「目・肩・腰が固まったように感じる、局所疲労が広まった」。武田薬品はこれに対応する観点で、93年に「アリナミンEX」を発売した経緯がある。
では、現在の社会状況はどうか。国は、仕事の生産性を上げて長時間労働から脱却する働き方改革を唱えている。「疲れにくい世の中になるかも知れないが、健康意識の高まりはアリナミンにとってプラスになる。疲れずに元気でいたい、という人も増えてくる」(田原課長代理)。
“元気”は、アリナミン全般の販売戦略のキーワードだ。「単なる疲れ対処というより、元気になって頂くための製品であることを改めて伝えていきたい」(魚住明広マーケティンググループマネジャー)とし、広告展開も一新。
製品価値を再認識してもらうためのキャッチコピー「発見!アリナミン」や、ブランドメッセージ「疲れにあわせて元気を選ぼう。」にそうした思いを込めた。
とはいえ、総合ビタミン剤や滋養強壮剤などで構成される医薬品栄養剤市場は縮小傾向だ。武田コンシューマーヘルスケアが、調査会社インテージのデータを基にまとめた資料によると、16年度の同市場は1317億円。03年度に比べると約25%減少した。アリナミンも楽観はできず、これまで以上に生活者の需要を捉える努力が求められ続ける。
(文=斎藤弘和)
「ビタミンB2を配合しているのがポイント」。武田コンシューマーヘルスケアの田原光博マーケティンググループ課長代理は、アリナミンEXプラスαの特徴をこう話す。
ビタミンB2は、三大栄養素である糖質・脂質・たんぱく質を細胞内でエネルギーに変換する際に役立つ。従来品の「アリナミンEXプラス」にはビタミンB1誘導体・B6・B12を配合していたが、今回、B2を追加した。
一般的には多くの成分を配合すると品質の低下が発生しやすくなるが、製剤技術の工夫で防いだという。目の疲れや肩こり、腰の痛みがひどい30代後半以降のビジネスパーソンへ売り込む。
田原課長代理は、時代の推移とともに疲れが変化・細分化してきたとも指摘する。例えば、1980年代までは体を動かすことで発生する疲労に対処したいニーズが多かったが、90年代に入るとオフィスにパソコンが登場。「目・肩・腰が固まったように感じる、局所疲労が広まった」。武田薬品はこれに対応する観点で、93年に「アリナミンEX」を発売した経緯がある。
では、現在の社会状況はどうか。国は、仕事の生産性を上げて長時間労働から脱却する働き方改革を唱えている。「疲れにくい世の中になるかも知れないが、健康意識の高まりはアリナミンにとってプラスになる。疲れずに元気でいたい、という人も増えてくる」(田原課長代理)。
“元気”は、アリナミン全般の販売戦略のキーワードだ。「単なる疲れ対処というより、元気になって頂くための製品であることを改めて伝えていきたい」(魚住明広マーケティンググループマネジャー)とし、広告展開も一新。
製品価値を再認識してもらうためのキャッチコピー「発見!アリナミン」や、ブランドメッセージ「疲れにあわせて元気を選ぼう。」にそうした思いを込めた。
とはいえ、総合ビタミン剤や滋養強壮剤などで構成される医薬品栄養剤市場は縮小傾向だ。武田コンシューマーヘルスケアが、調査会社インテージのデータを基にまとめた資料によると、16年度の同市場は1317億円。03年度に比べると約25%減少した。アリナミンも楽観はできず、これまで以上に生活者の需要を捉える努力が求められ続ける。
(文=斎藤弘和)
日刊工業新聞2017年5月26日