大企業が“クラウドファンディング”を使う理由

ライオンの美容家電開発から利点を探る

 1部上場企業のクラウドファンディング活用の動きが加速している。ライオンは6日、開発した美容家電「ヴィスリール」の開発支援金を集めるべく、クラウドファンディングを開始した。12月26日までに300万円を集め、2019年6月頃には支援者に販売したい考えだ。既存の事業領域とは異なる製品の開発にクラウドファンディングを使うことで、資金調達だけでなく、マーケティングにもつなげている。

 経営戦略本部事業開発部の藤山昌彦主任部員は「美容家電を作るのは初めて。お客さまの反応を見て売れるかどうかを判断できるのは心強い」と笑顔をみせる。ヴィスリールは振動するストレッチバーを口の中に入れ、内側から顔面マッサージができる美容機器。ほうれい線など口元のシワが気になる顧客向けの製品だ。同社が製造、販売するオーラルケアやメディカルケア製品などとは違う、全く新分野の製品となる。

 決して資金力がないわけではない同社だが、製品化にはクラウドファンディングを活用した。藤山主任部員は「美容家電は通常の製品と販売経路すらも違う。ニーズの有無や流通経路など、顧客の反応をみれるメリットは大きい」と明かす。

 クラウドファンディングの運営はマクアケ(東京都渋谷区、中山亮太郎社長、03・6758・2205)が担当する。資金集めだけでなく、付随して集まったデータを提供し、量産販売・事業化をサポートする。

 同社はこれまで、コニカミノルタや日本たばこ産業(JT)など、1部上場企業12社の19プロジェクトの創出をサポートしてきた。木内文昭取締役は「大手企業内でも新分野の製品を作るとなると、賛否両論が巻き起こる。クラウドファンディングで小さく、早く製品化してみて顧客ニーズがあるとわかれば、量産に踏み出しやすい」と実感を語る。

 現在、日本企業の研究開発費は19兆円規模だといわれる。木内取締役は「実際に商品や事業として展開できているモノは少なく、宝のもちぐされになっている。ぜひクラウドファンディングを活用して事業化してほしい」と意気込む。

(文=門脇花梨)

日刊工業新聞2018年9月12日

日刊工業新聞 記者

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09月13日
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ライオンはヴィスリールの反応がよければ、女性を笑顔にする製品をまとめて事業化したいという。成功事例にできるか、注目が集まる。(門脇花梨)

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