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情報過多の時代、現実世界にもショートカットキーが必要?

連載・発掘!イグ・ノーベル賞 慶応義塾大学・ウエアラブルスイッチ
 IoT(モノのインターネット)であらゆるモノがつながる時代は、あらゆるモノに問いかけられる社会になるかもしれない。音声やテキスト、バイブレーションなど、IoTサービスとユーザーの接点(インターフェース)が多様化・複雑化し、現実世界でも情報の海に溺れてしまう。

 慶応義塾大学の田中浩也教授と仲谷正史准教授はウエアラブルスイッチを開発した。インターフェースが複雑化するほどシンプルな操作の価値が上がる。現実世界にもショートカットキーが必要だ。首や胸、膝など身体の15カ所を調べ、スイッチを身に付けていても気にならない部位を特定した。1位は耳裏で2位はくるぶしだ。

 田中教授は「スイッチを身にまとい、ファッションとして競う時代がくる」と断言する。さらに柔らかく体にフィットするウエアラブルスイッチを製造する3Dプリント技術を開発した。身体がワンクリックでIoTとつながった。道で倒れても駆け付けてもらえる。「いまは妄想と笑われるくらいがちょうど良い。賭けてもいい。10年もたたずに妄想が現実になる」。
日刊工業新聞2018年9月11日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
星新一氏の小説のような、テクノロジーが持つ「逆説性」を感じさせます。ファッションという個人的で主観的な世界で「競い合い」を持ち込むのなら、金額や個数など何かしらの指標が必要かもしれません。例えば「搭載数」で競うのなら、勝者は全身スイッチ人間でしょうか。今よりずっと不便で複雑な情報生活になりそうです。

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