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【Uber】空飛ぶタクシー構想 すべてを話そう

米ウーバー・テクノロジーズ エリック・アリソン氏インタビュー
 米ウーバー・テクノロジーズは、2023年に電動垂直離着陸車両(eVTOL)による“空飛ぶタクシー”のサービス開始を計画。空の移動革命を目指す。2020年の試験飛行の候補地の一つに日本を上げており、国内からの関心も高い。航空部門責任者のエリック・アリソン氏に、今後の展望を聞いた。

アプリ一つでシームレスに移動


 -“空飛ぶタクシー”で移動を高速化する『エレベート』構想は、どんな未来の交通をイメージしていますか。
 「スマートフォンのアプリケーションをタップするだけで、タクシーと同様に空の乗り物『ウーバーエア』を利用できる世界です。このアプリの背後にあるプラットフォームは、空も、車やタクシーなどの他の交通手段も、シームレスにつなぎます。今いる場所からウーバーの配車サービスなどを利用した最寄りのウーバーエア離着陸拠点『スカイポート』への移動と、空の移動、着陸先のスカイポートから目的地までの移動という一連の旅を、アプリ一つで予約できるようになるのです。このプラットフォームに、将来は自動運転車や電車などの既存の交通機関も入るかもしれません。素晴らしい移動体験を提供したいです」

 -ウーバーエアは、最高時速320kmで、1回の充電で96キロメートルを飛行する計画ということですが、電池などの技術的課題をどう捉えていますか。
 「機体は5社のパートナーが生産し、ウーバーは機体の要件を提示しています。時速約300キロメートルで、1回の充電で約100キロメートル飛行できれば、よいビジネスケースになると期待しています。課題は複数ありますが、克服できます。電池は完全に新しいものは必要なく、改良によって対応できると思います」
             

ハイヤーと同水準の価格目指す


 -価格はどう設定しますか。
 「運営を含めたウーバーエアの経済モデルを作成し、1マイルの移動当たりの価格を検討しています。価格の妥当性を考える上で、機体コストは大きな要素を占めます。標準的な部品を使用すれば、2023年のサービス開始時には米国での配車サービスの『ウーバーブラック』(日本のハイヤーに相当)と同等の価格水準にできると想定しています。サービスを続けながら、運営効率を上げて価格を下げていきます」

 -空のライドシェアも考えているそうですね。
 「コスト低減と合わせて、空のライドシェアを実施すれば、1席当たりの料金としてさらに価格を下げられます。サービス開始から2-3年後をめどにタクシーと同等の料金にできると考えています」

 -スカイポート数などはどう増やしていきますか。
 「最初は小さく、限られた数のスカイポートでスタートします。分析によって、交通量の多い場所を選び、最も効果的な場所にスカイポートを設置します。国や自治体、住民などの理解を得ながら、ポート数を増やします。バラバラの場所ではなく、一定のエリア内に小さなスカイポートが集まった『ノード(節)』をつくり、ノードの単位で増やします」

東京での可能性


 -東京で運行する場合、どのくらいの数になりますか。
 「まだ東京を対象とした分析結果はありませんが、米国のダラス、ロサンゼルスでの分析を基にすると、東京サイズの都市には40ノード、1日のフライト回数は数十万回と想定しています。東京の全ての交通機関を合計した乗車回数は約4100万回のため、ウーバーエアの1回のフライトに3人が乗っても、全ての乗車回数に対して10%未満です。とんでもない数ではありません」
空飛ぶタクシーの登場で東京の空はどう変わるのか

 -都市部に多数のスカイポートを設置できますか。
 「最初は、ビル屋上の緊急用ヘリポートのような既存の場所を利用することが最も良い始め方だと考えています。例えば、東京の虎ノ門エリアだけでも、10以上のヘリポートがあります。国や自治体としっかりと話し合い、規制の枠組みの中で進めます。小さく始めて、安全を実証していけば、ヘリポートを持つビルオーナーに、スカイポートを設置するという新しい価値を提案できます。10-20年かけて、独自のスカイポートも設置したいです」

 -都市の上空を飛行することに不安を感じる住民は少なくありません。社会的な受容性は大きな課題になります。
 「規制の枠組みの中でやっていくことと、安全を実証していくことに加え、受け入れられる乗り物にすることが重要です。騒音についても、機体メーカーへ要件を指示しています。機体は垂直に離陸し、複数の電動小型回転翼で飛行するため、離着陸以外に騒音問題を起きにくくできます。一方、同じ大きさの音でも、不快なものとそうでないものがあります。現在、ダラス、ロサンゼルスで通常の町の騒音レベルを分析し、人工知能(AI)を使って、他の都市の騒音レベルを予測しています。機体から出る音を都市の背景音になじむようにし、住民が騒音を気にしなくてすむようにしたいです」

約半年で決める


 -2020年に始まる試験飛行の実施場所は、日本を含めた5カ国の候補地からどう選定しますか。
 「これから各候補地について、政策策定者やステークホルダーなどと議論し、規制や社会の受容性などの環境を理解していく予定です。2023年に効果的かつ効率的にサービスを開始できるかどうかのパラメーターを一つひとつチェックして約半年で決定します」

 -日本や日本企業への期待はありますか。
 「日本は製造業の優れたリーダーであるため、高い製造技術に期待しています。現在ウーバーエアの領域での日本企業との関係について話せるものはありませんが、連携の可能性を模索しています」
                  

【現在想定するウーバーエアの標準モデル】
・飛行速度 時速240-320km
・飛行高度 300-600m
・1回の充電で最大96km飛行
・4人乗りで、荷物を乗せる十分な広さを確保
・機体パートナー ボーイング子会社のオーロラ・フライト・サイエンシズ、ピピストレル・エアクラフト、エンブラエル、ベル、カレム・エアクラフト
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
METIジャーナルの8月の政策特集「航空産業 飛躍の時」番外編はウーバーのアリソン氏への単独インタビュー。来週から9月の政策特集「宇宙産業」がスタートします。

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