物流センターの作業効率化で“ビーコン”が優位な理由

ウェルキャット、システム構築を提案

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ウェルキャットのシステムが使用するビーコン
 ウェルキャット(東京都品川区、菅清二社長、03・5740・5280)は、作業者が片手で持てるデータ収集端末(ハンディーターミナル)や腕に巻き付けて使うウエアラブル端末を事業化している。このところ、端末販売にとどまらず、工場や物流現場の改善提案にも力を入れ、将来は需要拡大が見込める介護業界への提案も視野に入れる。

 2017年秋に、工場や倉庫といった物流の生産性を改善できるシステムとして、位置情報を自動で発する発信機「BLE(ブルートゥース・ロー・エナジー)ビーコン」を利用したシステム構築の提案を始めた。

 ビーコン内蔵型端末のほか、ビーコン単体でも構築できる同システムは、作業者の動作を介さずに、自動的に荷物の位置を把握できるのがポイント。物流現場で現在、普及しているバーコードやRFID(無線識別)は、作業者が端末で情報を読み込む作業が必要。この一手間が大きい。

 大きな物流センターでは、1日に何千個もの荷物の搬出入があるため、作業者の一手間の積み重ねが、軽視できないほどのロスを生み出している。

 新システムは、パレット単位で各荷物に貼られた小型ビーコンから、建物の天井に等間隔に設置した固定ビーコンに向けて、位置情報を自動発信。閉域ネットワークを通じてパソコンやスマートフォン上で荷物の位置を確認できる。作業者の一手間がない分、生産性が上がる計算だ。

 しかし、優れたシステムだからといって、普及は簡単ではない。ネックになっているのはシステム構築価格。1工場または1倉庫に対しての価格は約500万円。3月に大手製造業から受注したが、現在普及しているバーコードやRFIDを差し置いて、新システムを普及させるにはハードルが高い。

 そこで考え方を微妙に変えた。大手企業を標的として導入提案することに変わりはないが、生産性向上を前面に出すというより、生産現場の「分析」に使ってもらうような提案に力を入れ始めている。

 BLEビーコンを端末に組み込むことで「誰が、いつ、どこで、何の作業をしているかが分かる」(田中宏明営業推進課長)という。BLEビーコンの発する位置情報から作業者の動きを把握。年間の移動経路を収集・データ化して混雑する位置を把握し、人員配置を見直すなどの手が打てるようになる。

 工場や倉庫などの現場では、人手不足が慢性化している。BLEビーコンを利用して分析すると、「10人を9人にできる」(同)と説く。もちろん、働きやすい環境を整えられれば、パートタイマーやアルバイトなどの非正規雇用者も確保しやすくなる。

 また、工場や倉庫など物流現場以外での利用も模索している。BLEビーコンはセンサーとの相性が良い。温度計と組み合わせてデータを送信し、遠隔から温度や湿度を管理できるようになる。

 このほか、介護業界向けでは、加速度センサーと組み合わせて人の転倒を感知したり、認知症の方の徘徊(はいかい)を防いだりもできるようになる。

工場・倉庫向けBLEビーコンソリューションのイメージ図

(文=安久井建市)

日刊工業新聞2018年9月7日

COMMENT

BLEビーコンを利用した新システムは今後、物流現場向けに限らず、課題解決(ソリューション)提案として力を入れていく方針。18年度には3000万円の受注目標を立てている。 (日刊工業新聞社・安久井建市)

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