立命館大が高齢者の健康支援でICT人材育成

文系と理系組み合わせ製品開発

 立命館大学は、情報通信技術(ICT)を活用して高齢者らの健康に関連した研究を進め、活動的な生活を支援する「アクティブライフデザイン」を主導する人材育成プログラムを立ち上げる。国内外の健康問題を解決できる人材を育成するのが狙い。データ管理や診断、心身の支援などに必要な要素を文理融合の研究で確立していく。文部科学省が2018年度に始める博士人材育成事業「卓越大学院プログラム」に申請する。

 立命館大は少子高齢化社会の到来を踏まえ、生産年齢人口を増やすと同時に医療負担の削減のために、高齢者の健康が日本の課題解決には重要と判断。10年後にICTと健康の両面に関わる人材が求められるとし、育成を決めた。

 健康管理や医療に役立つ製品の開発や情報処理など理系の研究をもとに開発を行い、心理学や経済学など文系の研究と組み合わせ、実社会へ浸透させる。

 留学生が半数を占めて外国人の研究者も多い、系列校の立命館アジア太平洋大学とも連携し、アジアを中心に海外での展開も視野に入れる。

 また、人材育成や製品開発などで企業や行政などから専門の講師を招くなどして、社会とのつながりを重視。柔軟性やコミュニケーション力の育成にも力を入れ、学外でも求められる人材を育成し、博士課程修了後の就職率向上を目指す。

キーワード「卓越大学院」


Q 卓越大学院プログラムではどのような人材を育成するのか。

A 学術の教員だけが研究指導して育てる伝統的な博士人材は、幅の狭さが欠点とされる。今回は国際的に活躍する“知のプロフェッショナル”の高度専門人材を育てる。特に産業界でイノベーションを創出できる人材を大学が輩出し、就職先の多様化を進める狙いもある。

Q 同様の事業は1大学の特定テーマで行われていたのでは。

A 進行中のいわゆる「リーディング大学院」事業などがそうだ。対して卓越大学院では複数の大学や研究機関、企業、海外機関などとの連携が必須だ。企業は価値ある大学に大きな資金を出す状況になっており、別の産学連携事業と連動させたプランも出てくる見込みだ。産学連携の研究と教育がつながる点は新しい。

Q 事業規模は。

A 初年度となる2018年度の政府予算案では56億円、約10件を支援する予定だ。近く公募要領が公表される。採択のハードルはかなり高い。従来と異なる革新的な内容で、具体的な見通しが付いていないと難しそうだ。

日刊工業新聞2018年1月18日

山本 佳世子

山本 佳世子
01月19日
この記事のファシリテーター

卓越大学院プログラムがいよいよ始まる。
研究と博士人材育成を重視する大学で、この新事業に関心を示さないところはない。
日刊工業新聞では名古屋大学(ノーベル賞受賞者の天野先生がリーダー)と立命館大学の計画を報道している。
そのほか各大学のシンポジウムなどで、プラン一部公表を東北大、東京工大、広島大などで目にしている。
将来、「博士人材を採用したいとの声が、こんなにも社会から強く聞こえてくるなんて!」といわれるような、そんな人材育成に向けたプランが問われる。

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