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“コミケ”にモノづくり、同人誌に意外な需要

 機械製作・町工場・研究施設…
“コミケ”にモノづくり、同人誌に意外な需要

五つの町工場を取材した同人誌「MK」を売るしまや出版の小早川真樹社長

 東京ビッグサイト(東京都江東区)で94回目の「コミックマーケット」が10―12日に開かれた。3日間累計で約53万人が訪れた。コミックマーケットというと、アニメや漫画のイメージが強いが、その内情は主義や志を同じくする人が成果発表のために、共同で発行する「同人誌」の即売会。中にはモノづくりや工業をテーマに出展する人たちもいる。

 ネタトロニクスは京都大学機械研究会のOBが集まったサークルで、過去10回ほど出展している。レーザー加工機やCNCフライス盤を一から作り、制御系の設定やパーツの加工などをまとめた冊子を販売した。メンバーは現在機械に携わる人はおらず、研究者や会社員として過ごす傍ら、週末に集まり機械製作を続けている。

 しまや出版(東京都足立区)の小早川真樹社長は個人で出展し、五つの町工場を素人の視点で取材した同人誌「MK」を販売。工場で働く男性若手職人を紹介した「あだち工場男子」で話題となったが、「同人誌活動が思いの外評判が良かったため始めた部分もある」(小早川社長)と話す。

 サークル「ツインテ」として出展するフリーライター兼カメラマンの林佑樹氏は、取材活動の傍ら集めた核融合科学研究所など国内研究施設で一般公開されない部分の写真を冊子にまとめ、販売。初めは子ども向けの予定だったが、企業は自社製品の使われ方の確認や、取材先の施設は施設紹介に使用するなど、意外な需要が増えた。
日刊工業新聞2018年8月23日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
コミックマーケットは夏と冬の年2回開催される。趣味の発展が意外な才能やアイデアの発掘につながるかもしれない。 (日刊工業新聞社・大串菜月)

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