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覚悟のミラーレス再参入、ニコンの本気を示す“二つのレンズ”

開放F値0.95レンズを開発中
覚悟のミラーレス再参入、ニコンの本気を示す“二つのレンズ”

同社スペシャルサイトより

 ニコンは9月下旬に、大口径の新マウントを採用した高級ミラーレス一眼カメラ「Z7」を発売し、ミラーレス市場に再参入する。究極・最高の意味を込めて、アルファベット最後の文字「Z」を冠した。高級一眼レフと同じフルサイズで、有効画素数4575万画素のCMOSセンサーを搭載。常用感度ISO64-25600を達成した。ニッコールZレンズと組み合わせて、画像周辺部まで高解像感のある絵を追求できる。

 Z7と、11月下旬に発売する「Z6」には、カメラの老舗として技術とこだわりを詰め込んだ。オートフォーカス(AF)の進化に加え、新画像処理エンジンやニコン初のカメラ内センサーシフト式手ブレ補正機能を搭載。小型ボディーでもグリップを握りやすいデザインとした。牛田一雄社長は、「未来の映像表現を見据え、最高の技術を注ぎ込んだ」と自信を語った。

 Z7は、風景やポートレートなどの撮影で高い描写力を求めるプロカメラマン向けで、本体のみの想定価格は44万円前後。Z6はオールラウンドモデルで同27万円前後。

 ニコンは11年に初・中級ミラーレスカメラを発売したが、高級ミラーレスに注力する競合との差がだんだんと広がり、生産を止めていた。今回のZ7とZ6の発売で、画質にこだわるニコンファンに、ミラーレスでも“ニコンらしい”カメラを選んでもらえる準備が整った。

 後発ながらユーザーを獲得するカギは、『二つのレンズ』の価値がどう評価されるかだ。一つ目は、新しい大口径の「Zマウント」に対応したZレンズ。一眼レフカメラに採用するFマウントに比べ、Zマウントの内径は8ミリメートル大きい55ミリメートルとした。明るい大きな光学レンズも使いやすくなり、レンズ製品の設計の自由度が高まる。

 今後、同社史上最高の開放F値0.95というきわめて明るいレンズ製品をZレンズに追加する計画。また、新製品発表と同時にZレンズのロードマップを公開し、多彩なレンズを増やす意気込みを示した。

 二つ目は、約360種類ある一眼レフカメラ用のFレンズだ。Z7とZ6は、「マウントアダプターFTZ」を介して、Fレンズの豊富なバリエーションを利用できる。「(競合に対して)レンズ資産は優位になる」(ニコン幹部)といい、ニコンの一眼レフカメラのユーザーへ強力にアピールする。

 ミラーレスカメラ市場には、フルサイズCMOSセンサーを搭載した高級機でリードするソニーをはじめ、シェアを伸ばしているキヤノン、オリンパス、富士フイルム、パナソニックがひしめき合う。ニコンの再参入により、競争はさらに激しくなる。最後の文字である「Z」には、これ以上後ろにならないという覚悟の意味もあるのかもしれない。

 

【Z7】9月下旬発売。有効画素数4575万画素。常用感度ISO64-25600。フォーカスポイント493点。想定価格44万円前後。
【Z6】11月下旬発売。有効画素数2450万画素。常用感度ISO100-51200。フォーカスポイント273点。想定価格27万円前後。

会見するニコンの牛田社長

梶原洵子
梶原洵子 Kajiwara Junko 編集局第二産業部 記者
各社のミラーレス強化はまだまだ続きます。

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