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【写真5枚】黒部ダムの維持管理風景

【写真5枚】黒部ダムの維持管理風景

ダムのキャットウォークで、次代を担う岡崎勇さん(右)に大局的にものを見る目が必要と話す岩坂信一係長

 戦後、高度経済成長期に関西圏の電力供給不足を補うため、関西電力が黒部川上流部に黒部川第四発電所用として建設した「黒部ダム」(富山県立山町・ドーム型アーチ式コンクリート造り)がある。

 ダムは55年が経ち、次代へ変わらず安定した電力供給を行うために日々の管理が大切となる。指揮を執るこの道40年、北陸エリアの水力事業を知り尽くす岩坂信一さん(黒部川水力センター・土木係長)は「保守通路が10キロメートルにも及び、細かな部分だけを見ていては時間がいくらあっても足りない。感受性を高め、大局的にものを見る目が必要だ」と語る。


 トンネル内に設置されるクラック計の説明をする岩坂信一係長。ダム本体およびそれを支える岩の中には様々な測定器が設置されている。

 夏場の作業は外気温は30度を超える猛暑の中、長いトンネル内の気温は13度前後と低く体は冷え切ってしまうため、気温差が大きく体調管理が求められる。

 黒部ダム左岸にある管理棟(写真中央)から水面に延びた先が黒部川第四発電所へ水を取り入れる取水口となる。

 高さ186メートルと圧倒的な高さを誇る黒部ダムを見渡す岩坂信一係長(右)と岡崎勇さん。

 後輩には、異音や異臭、小さな傷でも今すぐ運転に支障が出るか出ないか、マニュアルにはない変化を「五感」で感じられるように育ってほしいと話す。

  

  

  

  

(写真・文=田山浩一)
日刊工業新聞2018年8月22日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
高度成長期前後にできた老朽インフラは年々増える一方です。それらの点検や補修をしていかないといけないのですが、追いついていないのが現状だと言われています。ドローンや画像認識技術を組み合わせた機器や、IoTのシステムなどで点検を効率化すべきだと思いますが、「五感」の重要性を指摘する方は岩坂さんだけではありません。

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