富士電機が業務用燃料電池で次の一手、50キロワット機で狙う市場は?

 富士電機は出力50キロワットの業務用燃料電池の開発にめどをつけ、2018年度下期に受注を始める。同社にとって100キロワット機に続く2機種目の燃料電池。これまでビルや工場の電源になる業務用燃料電池は、同社だけが製造・販売してきた。京セラや三浦工業も製品化で続いており、業務用燃料電池市場の活性化が期待される。

 富士電機の50キロワットの燃料電池は、電気を生み出す基幹部品「セルスタック」にセラミックスを使った固体酸化物型燃料電池(SOFC)。80台以上の納入実績がある同社の100キロワット燃料電池はリン酸型だ。両者のわかりやすい違いが作動温度。SOFCは水素と酸素の反応で1000度Cまで上昇するが、リン酸型は200度C程度。

 作業温度が違えば内部機構も変わる。同社は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業に参加し14年、SOFCの要素技術の開発に着手。部品以外に運転方法も確立する必要がある。燃料電池技術部の堀内義実担当部長は「98年に発売したリン酸型で培ってきた起動や停止のノウハウが生かせた」と語る。

 17年度から千葉工場で実証運転を開始し、3000時間以上の稼働で耐久性を確認した。「18年度は製品に仕上げる」(堀内担当部長)段階だ。発電だけで55%、熱利用も入れた総合効率で85%を目指す。

 50キロワット機が狙う市場は、ホテルや病院など電気もお湯も必要な施設。工場にも導入されている100キロワット機に比べ中規模な施設がターゲットだ。夜間に50キロ―100キロワットの電気が必要なビジネスホテルだと、50キロワット機でほとんどのエネルギーを賄える。23年度に50キロワット機と100キロワット機の合計で50台の販売を目指す。

 09年に売り出された家庭用燃料電池「エネファーム」の設置は22万台に達した。だが、市場拡大のテンポは鈍く、17年に東芝グループが撤退を表明。メーカーはパナソニックとアイシン精機の2社になった。

 一方、業務用は参入が相次ぐ。17年に京セラと三菱日立パワーシステムズ、18年に三浦工業が製品化した。また東芝とブラザー工業は水素を直接、投入する純水素燃料電池を提案する。メーカーが増えて品ぞろえも多くなると、電源設備を購入する側にも業務用燃料電池が選択肢に入る。孤軍奮闘してきた富士電機も2機種に拡充し、堀内担当部長は「燃料電池の市場をこれから作り上げる」と意気込む。

 

日刊工業新聞2018年8月7日

松木 喬

松木 喬
08月17日
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国プロに参加した各社が業務用燃料電池を開発しました。普及しなければもったいないです。ビジネスにできれば海外にも売り込めます。水素社会を目指すのであれば、普及策も国の役割と思います。

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