揺れる東芝「社長交代」過去3回の会見で語られたこと

企業が変化・変質していくヒントが見え隠れ

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2年前の社長交代会見。左から西田氏、田中氏、佐々木氏

田中氏が昇格「就任時にかかげた事業構造転換は結果が出せた」(佐々木社長)


 <2013年2月27日付>
 東芝は26日、田中久雄副社長(62)が社長に昇格する人事を発表した。就任は6月の株主総会後。佐々木則夫社長(63)は副会長に就任し、西田厚聡会長(69)は留任する。3人体制で得意分野を担当し、対外活動も強化する。田中氏は会見で「海外企業に比べまだ利益水準は低い。注力6分野を中心に新しい成長事業の育成を急ぐ」と抱負を語った。

 西田会長は今回の人事について「周囲から引き続き会長をやってほしいといわれた。佐々木社長は社外活動が忙しくなることを考慮した」と説明。田中氏については「海外での豊富な経験と、調達担当として事業全体を見通す能力」などを評価したという。

 佐々木社長は「就任時にかかげた事業構造転換は相応の結果が出せた」と話した。注力する社会インフラ部門の売上高比率は、就任前の34%から44%(12年度予想)まで高まる見通し。4年間の当期損益の合計は約3000億円で、収益面は及第点以上がつけられる。

 仏アレバT&Dの買収は成立しなかったが、企業の合併・買収(M&A)にも積極的に取り組んだ。また人気アイドルグループ「AKB48」への造詣が深く、価値が連鎖するビジネスモデルに着目。米IBMから流通向け販売時点情報管理(POS)端末事業を取得したのも、膨大な情報が活用できるためだ。

 しかしピーク時に比べ全社売上高は1兆3000億円減少。特にデジタル機器が不振で、売り上げ規模が8000億円あるパソコンはほかの携帯端末に市場が侵食されている。今後の経営を大きく左右するだけに、同事業を育てた西田会長と田中次期社長のコンビによる新機軸が注目される。
 

【素顔】ネジ1本の値段も把握。原価低減のエピソードには事欠かない


 佐々木則夫社長と同世代で、後継の本命と見られていなかった。調達出身だが、製造現場に足しげく通い細かい指示を出す。ネジ1本の値段も把握。パソコンのコードを短くしたり、裏面の塗装を簡素化するなど原価低減のエピソードには事欠かない。事業部門トップの経験はないが、全社のコスト構造を俯瞰(ふかん)できる点が強み。

 最近は佐々木社長の分身となって、月1回開く部長級会議で議論の口火を切ることもしばしば。温厚な人柄で話し好きだが、「そろそろ半導体部門には言うことを聞いてもらう」と厳しい指摘もズバリと言い放つ。

 パソコン事業で仕えた西田厚聡会長に倣って朝6時には自宅を出る。西田会長、佐々木社長と等距離の関係を保っていることは、3人の経営体制で有利に働くだろう。米アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)が調達革新で利益を上げたのは有名。“芝浦のクック”になれるか―。
 <略歴> 
 1973年(昭48)神戸商科大(現兵庫県立大)商経卒、同年東京芝浦電気(現東芝)入社。06年執行役常務、09年執行役専務、11年副社長。兵庫県出身。
 (肩書き、年齢は当時)



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明豊
執行役員デジタルメディア局長 DX担当

ニュースが時系列で連なるとストーリーになり、ストーリーを束ねると背景などが見える「洞察」に変わる。

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