じわり広がる地銀協働の再就職支援、利用拡大へ課題は?

銀行間に温度差も

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横浜銀行は他行から14人を受け入れた
 社員が結婚や配偶者の転勤、家族の介護などで転居が必要となった際に、移転先の同業他社で再就職できるよう支援する取り組みが広がりつつある。地方銀行による再就職支援「地銀人材バンク」は3年目を迎え、利用実績は6月末時点で145件に上る。利用者は自身のスキルや経験を生かせ、受け入れ側も即戦力を採用できるなどメリットは大きい。労働力人口の減少といった地域が抱える課題解決の処方箋となりうることから、注目が高まっている。

 地銀人材バンクは全国地方銀行協会の会員全64行でつくる「輝く女性の活躍を加速する地銀頭取の会」が2015年4月に創設。就職の紹介は各地銀の人事部同士でやりとりし、働き手や受け入れ先地銀の了承を得た上で、再就職が決まる仕組み。事務局の千葉銀行によると、6月末時点で紹介が201件で成約が145件、ほぼ全員が女性だった。武蔵野銀行の担当者は人材バンク活用のメリットについて「即戦力の人材をブランクなく採用できる」と説明する。

 昨夏には60歳以上の再雇用にも利用対象を拡大し、2月に山口銀行から千葉銀行へ男性が移籍した。親の介護などでシニア男性が地方に転居するケースも一般的に目立っており、男性の利用は今後増えそうだ。

 横浜銀行ではこれまで他行から14人を受け入れ、12人が他行へ転出した。七十七銀行から入行した20代女性は、夫の転勤で首都圏に転居してきた。同行では本部事務部門に所属。横浜銀でも前職の経験を生かし、事務の効率化などに従事する。

 ニッセイ基礎研究所の清水仁志研究員は「日本企業の伝統的慣習である転勤で職を失うのは明らかにマイナス。地銀人材バンクは政府の掲げる『一億総活躍社会』にも資する取り組みだ」と評価する。ただ、周知の度合いにより銀行間に温度差があるのも事実。各行に取り組みをいかに浸透させるかが課題だ。そこで事務局は17年12月に人材バンクの利用者と各行の人事担当者が一堂に会する場を設け、相互理解の促進に努めた。

日刊工業新聞2018年8月15日から抜粋

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長塚崇寛
名古屋支社編集部
編集委員

「人事制度の違いから、銀行ごとに処遇が異なる」(武蔵野銀)こともあり、一層の利用拡大に向けては制度設計の深化も必要となりそうだ。

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