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東京ガスの研究開発費、100億円の使い道

常務執行役員デジタルイノベーション本部長 笹山晋一氏インタビュー
東京ガスの研究開発費、100億円の使い道

東京ガス常務執行役員デジタルイノベーション本部長 笹山晋一氏

 ―2018年度、デジタルイノベーション本部を立ち上げました。
 「ガス事業関連の技術開発に取り組んできた技術本部と、業務系システムを中心に手がけてきたIT本部を統合した。デジタルイノベーション本部の発足に併せて人材を捻出し、傘下にデジタル技術を駆使したサービスの提供や業務効率化を狙ったデジタルイノベーション戦略部を設置した」

 「中期経営計画(18―20年度)では電気を含め最適なエネルギーを提供するためIoT(モノのインターネット)、人工知能(AI)、モバイル化やビッグデータ活用など“デジタル技術の効果的な導入”を掲げた。デジタル化によるイノベーションに取り組む」

 ―研究開発費の使途に変化は。
 「社外の知見を活用するオープンイノベーションに軸足を移しつつある。17年12月には米シリコンバレーにコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)を設立した。10年間で100億円を投資する計画だ。エネルギー分野に応用できる技術、パートナーとなるベンチャー企業を発掘する。実績のある現地ベンチャーファンドと出資契約したほか、すでに個別企業への投資実績もある。さらに数社への投資を検討中だ」

 ―イノベーションの可能性について。
 「ビッグデータ解析による高度な予防保全や最適な設備運用、また顧客対応にAIを活用し、サービスレベル向上と省力化の両立も可能になるだろう。顧客ごとのニーズに合ったサービスと、情報を提供できるデジタル基盤の整備を進める」

 「幅広いエネルギー分野で革新的技術の情報を収集するとともに、国内外の先進的な大学やベンチャー企業と協業して新たな技術を吸収し、イノベーションを創出していく」
日刊工業新聞2018年8月14日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
電力に続いて都市ガス小売りが全面自由化され、エネルギー産業は大競争時代に突入した。一般家庭向け都市ガス市場の開放で、すでに自由化されていた大口や卸市場の競争も一段と激しくなっている。体力に勝る電力大手と渡り合い、電力小売り事業で首都圏以外への展開を進めるためにも“デジタル武装”は欠かせない。 (編集委員・青柳一弘)

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