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ネットはもはや“普通の広告メディア”になった!?

 毎日、ネットで広告は見ない日はないのではないだろうか。そこで、広告業の内訳となる「インターネット広告」、つまり広告業界のネット利用とは別に、ネット業界の広告活動について、その指数を最新の平成28年度と、平成29年度を推計してみた。

 ネット業界の広告活動とは、具体的には、「インターネット付随サービス業」の広告売上げで補足する。「情報通信業基本調査」を用いると、同業の売上に締める広告収入の比率を計算することができる。

 この広告収入比率をサービス産業(第3次産業)活動指数の「インターネット付随サービス業」活動指数に乗じることで、ネット業界の広告活動の把握が可能だ。

 広告業のインターネット広告の活動指数も、サービス産業活動指数の内訳として作成されているので、これで、両者を比較できるようになる。
                 

 下のグラフは、ネット業界の広告活動分を加算した拡大広告業、そして、インターネット広告、ネット業界の広告活動、それらを合算した広義のネット広告、そして、その広義のネット広告以外の広告の各活動を、2010暦年平均を100とした指数化したものの推移グラフである。

 このグラフを見ると、広告業全体(赤紫の折線)の推移に対し、広義のネット広告が大きく伸びていることが分かる。また、それ以外の広告は、2010年度からほとんど増加していないことも見て取れる。

 さらに、ネット広告の中では、広告業界のネット利用(インターネット広告)と比較すると、ネット業界の広告活動は、むしろ少し伸び悩んでいる印象だ。
                 

 2016年度の広告の種類別の構成比を見てみると、インターネット広告とネット業界の広告活動を合わせた広義のネット広告の構成比は、ほぼ4分の1に達していることが判明する。

 基準年となる2010年度では、広義のネット広告の構成比は18%程だったので、着実に広告全体に占める構成比を高めている。広義のネット広告の構成比の増加分は、いわゆる4媒体広告の構成比の低下分とほぼ一致している。

 つまり、メディア広告の中で、広告の伝達経路が、伝統的なテレビ、ラジオ、出版物からネットに変わっているという状況だ。他方、看板や折り込み、電車広告などのリアル広告の構成比は、ほとんど変化していない。

 全体を通してみて、意外だったのは、むしろ伸びている、存在感を増しているのは、ネット業界の広告活動というよりも、広告業界のネット利用の方であるということ。結局、ネットも「普通の」広告メディアとなったということなのかもしれない。
         
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
ECはメディア化し、メディアもEC化していく流れはどんどん増えるだろう。

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