メルカリも採用…社員同士が送り合う新たな給与「ピアボーナス」広がる
導入支援のITシステム「ユニポス」の利用100社に
社員同士が称賛の言葉や少額のお金を送り合う仕組み「ピアボーナス」を導入する企業が増えている。この導入を支援するIT(情報技術)システム「Unipos(ユニポス)」の採用が100社を超えた。メルカリやマイナビなどが利用する。労働人口が減少する中で社員の定着は企業の重要な経営課題になった。社内のコミュニケーションを活発化し、そうした課題を解決する仕組みとして注目されている。
ユニポスは社員が他の社員の仕事の成果などを称賛するコメントについてポイントを付けて投稿する。投稿は社内で共有され、別の社員がその投稿に賛同してポイントを送る拍手機能も備える。社員は週400ポイントを上限に投稿したり拍手したりできる。称賛の投稿や拍手により得たポイントは導入企業の判断で1ポイント1円などに換金し、社員に支給する。
開発したのは広告会社のFringe81だ。同社は創業4年間で従業員数が130人にまで急増し、社内のコミュニケーションが難しくなった。その中で企業のさらなる成長に向けて社員同士が互いを認め合う文化の醸成を目指した。
そこで社員同士が称賛し合い、その評価を基に表彰する社内制度を創設した。それをシステム化し、社員同士が適宜インセンティブを付与し合える機能を設けたのがユニポスだ。この制度の導入以降、システム障がいの未然防止など成果を数字で測りにくいエンジニアの貢献が社内で共有されるようになった。その結果、従前は毎年数人いたエンジニアの離職者は制度導入後の14-17年度はゼロという。
ユニポスの外販は17年6月に始めた。わずか半年で50社の導入が決まるなど、反響が大きかったため、同12月に同サービスを専門に扱う子会社「ユニポス」を立ち上げた。
子会社設立後も順調に導入企業を増やしており、導入企業からは社員の定着以外の効果を指摘する声が上がっている。教育事業のトモノカイ(東京都渋谷区)は4月にユニポスを本格導入した。同社の原口陽一郎取締役は「ユニポスの投稿により各部署の仕事が『見える化』される。それにより(社内で誰が何を知っているかを共有する)トランザクティブ・メモリーが高まる」と効果を指摘する。
同社は事業部制のため、広告活動やアルバイトの採用などは各部で行う。ただ、そうした業務は事業が異なっても共通する取り組みは多い。例えばメルマガの有効な配信方法などについて、他部署が蓄積した知見をユニポスの投稿を通じて共有することで生産性の向上につながるという。
一方、課題も出ている。導入企業からは「一部の社員は『ユニポス』の投稿に熱心になる余り、本来の業務に割くべき時間が削られる」や「導入から一定期間が過ぎると『ユニポス』に参加する社員が少なくなる」という意見が上がる。
こうした課題についてユニポスは「システムだけでは解決が難しく、導入企業による社内制度とのひも付けなどの運用が重要になる」と見る。このためユニポスは6月に導入企業同士が交流し、ユニポスの有効な利用方法を情報交換できる場を設けた。ユニポスの斉藤知明社長は「今後3カ月に1回程度の頻度で開く」と力を込める。こうした地道な取り組みはユニポスの導入企業を増やす上で重要になりそうだ。
ユニポスは社員が他の社員の仕事の成果などを称賛するコメントについてポイントを付けて投稿する。投稿は社内で共有され、別の社員がその投稿に賛同してポイントを送る拍手機能も備える。社員は週400ポイントを上限に投稿したり拍手したりできる。称賛の投稿や拍手により得たポイントは導入企業の判断で1ポイント1円などに換金し、社員に支給する。
開発したのは広告会社のFringe81だ。同社は創業4年間で従業員数が130人にまで急増し、社内のコミュニケーションが難しくなった。その中で企業のさらなる成長に向けて社員同士が互いを認め合う文化の醸成を目指した。
そこで社員同士が称賛し合い、その評価を基に表彰する社内制度を創設した。それをシステム化し、社員同士が適宜インセンティブを付与し合える機能を設けたのがユニポスだ。この制度の導入以降、システム障がいの未然防止など成果を数字で測りにくいエンジニアの貢献が社内で共有されるようになった。その結果、従前は毎年数人いたエンジニアの離職者は制度導入後の14-17年度はゼロという。
ユニポスの外販は17年6月に始めた。わずか半年で50社の導入が決まるなど、反響が大きかったため、同12月に同サービスを専門に扱う子会社「ユニポス」を立ち上げた。
子会社設立後も順調に導入企業を増やしており、導入企業からは社員の定着以外の効果を指摘する声が上がっている。教育事業のトモノカイ(東京都渋谷区)は4月にユニポスを本格導入した。同社の原口陽一郎取締役は「ユニポスの投稿により各部署の仕事が『見える化』される。それにより(社内で誰が何を知っているかを共有する)トランザクティブ・メモリーが高まる」と効果を指摘する。
同社は事業部制のため、広告活動やアルバイトの採用などは各部で行う。ただ、そうした業務は事業が異なっても共通する取り組みは多い。例えばメルマガの有効な配信方法などについて、他部署が蓄積した知見をユニポスの投稿を通じて共有することで生産性の向上につながるという。
一方、課題も出ている。導入企業からは「一部の社員は『ユニポス』の投稿に熱心になる余り、本来の業務に割くべき時間が削られる」や「導入から一定期間が過ぎると『ユニポス』に参加する社員が少なくなる」という意見が上がる。
こうした課題についてユニポスは「システムだけでは解決が難しく、導入企業による社内制度とのひも付けなどの運用が重要になる」と見る。このためユニポスは6月に導入企業同士が交流し、ユニポスの有効な利用方法を情報交換できる場を設けた。ユニポスの斉藤知明社長は「今後3カ月に1回程度の頻度で開く」と力を込める。こうした地道な取り組みはユニポスの導入企業を増やす上で重要になりそうだ。
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