経済効果32兆円も、五輪イヤーのGDP成長率が0.1%減ってホント?

 2020年の東京五輪・パラリンピックの開幕まで24日で残り2年となった。経済波及効果は大会前後の観光消費やインフラ投資などにより、32兆円規模に上ると試算される。一方、五輪後には不動産需要などの落ち込みも予想され、景気の刺激策が欠かせない。政府は反動減の緩和に向け、観光客や投資の誘致拡大に加え、自動走行など新産業の創出にも力を入れる。

 五輪の詳細が固まるにつれ、経済効果も顕在化してきた。巨大なビルが並ぶ東京・大手町では、三井物産などが20年の完成を目指し超高層ビル2棟の再開発を推進。JR東日本は山手線「品川駅」の周辺に新駅やビル群を建設し、20年に暫定開業する。東京都は、13―30年までの18年間で約32兆円の東京五輪経済効果を予想し、このうちインフラ整備などレガシー(遺産)で約27兆円を見込む。

 一方、五輪特需の反動減を懸念する声もある。特に不動産取引は過熱気味だ。18年の東京・銀座の公示地価は1平方メートル当たり5550万円になり、バブル末期に比べて1・5倍に膨らんだ。

 オフィスや住宅の供給量も過剰との見方が強く、五輪後に息切れしても不思議ではない。三菱UFJリサーチ&コンサルティングは消費増税の影響も考慮し、20年度の実質国内総生産(GDP)成長率は0・1%減を見込む。

 大会後に景気が上向いた例もある。英国政府は12年のロンドン五輪の後、自国の文化や技術を訴求する活動を継続し、観光客や投資を増やすことに成功した。日本政府も英国を参考に、新産業の創出などを通じて持続的な成長を狙う。

 特に20年以降は自動走行や人工知能(AI)、ロボットといった新産業の拡大が期待される。日本は少子高齢化や人手不足などの問題があり、自動化の技術を受け入れるニーズが強い。ある政府関係者は「“AIなどが人から仕事を奪う”と他国が恐れる事態は起こりにくい」と懸念を払拭(ふっしょく)する。

 自動走行については、20年度に限定地域で運転手不在の移動サービスを実現する目標を掲げており、政府や自動車メーカーが連携して実証実験を始めた。

 過疎地の高齢者など“移動弱者”の救済が可能になれば大きなビジネスチャンスになる。また物流業界で深刻化する人手不足の処方箋にもなりうる。

 ロボットへの期待も大きい。五輪開催時、空港など人が集まる地点を日本発ロボット技術のショーケースにする計画も進む。“ロボット大国”として関連産業を飛躍させる上で絶好の機会になる。
着実に建設が進む新国立競技場

日刊工業新聞2018年7月24日

日刊工業新聞 記者

日刊工業新聞 記者
07月26日
この記事のファシリテーター

五輪を起爆剤に、日本経済をどう形づくるのか。官民の知恵が問われている。
(日刊工業新聞・敷田寛明)

この記事にコメントする

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。