東日本銀も・・・不祥事相次ぐ地銀に共通する苦境

従来の成長モデルに限界

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東日本銀行は金融庁の業務改善命令を受け陳謝(酒井東日本銀行常務〈左〉)
 地方銀行の不祥事が相次いでいる。昨年来のスルガ銀行やみちのく銀行に続き、13日にはコンコルディア・フィナンシャルグループ(FG)傘下の東日本銀行が、不適切な融資の発覚で金融庁から業務改善命令を受けた。いずれもガバナンス(統治)機能の不全が主因だが、行員が不適切な融資に手を染める背景には業績改善への過度な重圧も透けて見える。

 「命令を厳粛に受け止めて改善を着実に実施し、再発防止に全力で取り組む」。東日本銀の酒井隆常務は、金融庁の業務改善命令を受けた会見で陳謝した。金利とは別に根拠不明な手数料を取引先から取るなど不適切な融資が露見したほか、融資審査体制にも不備があった。金融庁は同行に対し、内部管理体制の強化や経営責任の明確化などをまとめた経営改善計画を8月13日までに提出するよう命じた。

 不適切な手数料の徴収は2015年4月から17年9月にかけ、全83店舗のうち69店舗で997件あった。こうした手数料の総額は4億6000万円に上る。加えて、地方自治体の利子補給制度を使った中小企業向けの低利融資では、自治体が禁じていたにもかかわらず、融資先から手数料を受け取っていた。

 酒井常務は不祥事の背景について「新規顧客の開拓に行員を重点配置したため、本部の人員が少なくなり、内部管理体制が十分でなかった」と説明。一方で「営業ノルマが問題を発生させたとは思っていない」と、過度な業績目標が原因でないことを明確にした。

 もちろん、収益環境の悪化と不適切な融資の横行を直接結びつけることはできない。だがスルガ銀やみちのく銀の例を見ても、内部統制の不備とともにマイナス金利下で苦境に立つ地銀の厳しさが浮き彫りになっている。

 貸出金と預金の利ざやで稼ぐ銀行の本来業務だけでは、成長モデルに限界がきているのが実情。地銀全106行のうち約4割の40行が、18年3月期決算で、本業の利益が3期以上連続で赤字となったことが金融庁の調査で明らかになった。

 金融庁によると、赤字が続いているにもかかわらず、抜本的な対策を講じていないほか、経営課題に対して取締役が議論を行っていない例もあったという。

 本業の融資で収益が上げられない中、東日本銀の担当者は不適切な手数料徴収で営業成績を取り繕ったという見方もできる。

 持続可能なビジネスモデルの構築は各地銀の共通の課題。自浄作用はもちろん、改革に向けた金融庁の経営監視の強化も求められる。全国地方銀行協会の柴戸隆成会長(福岡銀行頭取)は「各行が構造改革に取り組んでいるが、厳しい収益環境が続く」との見方を示す。自力での収益改善が難しい場合は、経営統合など業界再編が加速する可能性もある。

日刊工業新聞社2018年7月19日

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長塚崇寛
編集局ニュースセンター
デスク

マイナス金利などを受け地銀の事業環境は厳しい。ガバナンス強化と収益力改善の両立が求められている。

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