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関西みらいFGが始動、地銀トップへ課題は?

関西アーバン銀、近畿大阪銀、みなと銀の強みを共有
関西みらいFGが始動、地銀トップへ課題は?

関西みらいFG経営統合式。(左から)東和浩りそなHD社長、服部みなと銀行頭取、菅関西みらいFG社長、橋本和正関西アーバン銀行会長兼頭取、中前公志近畿大阪銀行社長(4月1日)

 関西最大の地方銀行グループ、関西みらいフィナンシャルグループ(FG)が始動した。1日に傘下の近畿大阪銀行に加え、関西アーバン銀行とみなと銀行を完全子会社化して経営を統合。関西みらいFGはりそなホールディングス(HD)子会社の強みを生かし、規模の効果や得意分野を共有する。モノづくり中小企業を数多く抱え、地銀の競争が激しい関西で、「名実ともに地銀のトップ」(菅哲哉関西みらいFG社長)を目指す。

 「これまで関西アーバン銀、近畿大阪銀、みなと銀は別々に営業にやってきていた。一つになれば印象も向上するだろう」。関西のある企業幹部は、関西みらいFGが傘下銀行の経営をどう進化させるのか注視する。

 関西みらいFGは預金約11兆円、貸出金約9兆円と関西地銀の首位へ浮上。営業地域の大阪が重複する関西アーバン銀と近畿大阪銀は、2019年4月に合併し「関西みらい銀行」となる。みなと銀は兵庫県を地盤に「独自性を発揮する」(服部博明頭取)ため合併しないが、3行の事務システムをりそなグループと20年9月までに統合する。

 計画通り統合できれば、コスト効果は大きい。大阪府下の池田銀行と泉州銀行が10年に合併した池田泉州銀行は、年間コストを数十億円削減した。

 「システム統合の難易度は高い」(菅社長)が、りそなHD傘下のりそな銀行や埼玉りそな銀行の応援も得て断行する。浮いた資金と人材は、サービス開発や営業に投じる。3行が持つ中小企業の多様な取引先、不動産融資、個人資産、地域密着、さらにりそなグループの信託・不動産業務も共有し、サービス力や収益力も関西地銀トップを狙う。

 しかし、関西は京都銀行や南都銀行、紀陽銀行といった有力な地銀が府県をまたぎ互いに浸食。大手企業や優良な中小の顧客を取り合っている。地銀並みの営業力を誇る信用金庫も多い。メガバンクグループや政府系金融機関も、優良な中小に取引先を紹介するといった手法を使い攻勢を強めている。

 りそなHDは中小の課題として深刻な事業承継の支援に力を入れる。個人向けに加え、法人向けの信託や不動産といった承継実務に欠かせないグループの強みを、関西みらいFGに移植している。市場の成熟と長引く超低金利の下で、迅速な対応や営業支援に強い金融機関が業績を伸ばしている。同FGも同様の戦略が欠かせない。
(文・田井茂)
日刊工業新聞2018年4月19日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
強力なライバル各行とのつばぜり合いが本格化する。 (日刊工業新聞社大阪支社・田井茂)

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