高齢ドライバー見守りサービス、究極の役割は「スムーズな免許返納の支援」

オリックス自動車が提供

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「エバードライブ」の画面
 オリックス自動車(東京都港区)のITを使った高齢運転者見守りサービスが、じわりと存在感を高めている。岡山県は2日、高齢運転者の「安全運転モニタリング事業」で活用すると発表した。自治体が同サービスを採用するのは初めて。同サービスは危険挙動時の警告機能に加え、データを蓄積し運転の見える化を図っているのが特徴。利用者が客観的に運転を振り返り、安全意識を高めるのに役立つ。

 オリックス自が提供する高齢ドライバー見守りサービス「エバードライブ」は、車両に専用機器を設置し走行データを収集。急加速・急減速などの挙動を即座に家族のスマートフォンやパソコンに通知する。高齢ドライバーが起こす交通事故が社会問題になる中、2017年2月に始めた。

 ただ損害保険会社も同種のサービスを展開している。エバードライブの特徴は何か。オリックス自の中村健太郎リスクコンサルティング部課長は「運転中の危険挙動の把握・通知に加え、データ蓄積に重きを置いている点」と指摘する。

 具体的にはスマホやパソコンの地図上に運転履歴や危険場所を表示する機能や、急加速など運転リスクに関わる項目の最大3年分の推移をグラフで示す機能などを有する。「運転の見える化で、客観的に自身の運転を見直せる。家族でのコミュニケーションにも利用でき、安全運転意識の向上につながる」(中村課長)と説明する。

 岡山県も運転データ蓄積機能に着目した。モニタリング事業を立ち上げて65歳以上の運転者150人を募り、9月から6カ月間、同サービスを無償提供する。収集したデータを、交差点の安全性向上といった交通安全対策に活用する。

 「スムーズな免許返納を支援したい」。中村課長はエバードライブの“究極”の役割について語る。高齢運転者が注意力の衰えなどで免許返納を検討しても、地方では車が生活の足となっており実行が難しい場合が多い。こうした課題の解決にエバードライブが役立つとみる。

 蓄積データを使って、運転の頻度や行く先を詳細に把握。それを基に返納後の“足”について、例えば公共交通機関と、家族によるマイカーでの送迎を組み合わせるといった対策を導き出せると期待する。

日刊工業新聞2018年7月17日

COMMENT

後藤信之
編集局ニュースセンター
副部長

高齢運転者のカーライフを可能な限り引き延ばし、その先の“卒業”までを支えるエバードライブ。竹村成史オリックス自リスクコンサルティング部部長は「社会的意義の大きな事業」と強調する。一方、こうしたサービスはまだ珍しいため認知度不足など課題は多く、まだ赤字とみられる。「腰を据え、地道に契約数を伸ばしていく」(竹村部長)と事業戦略の方向性を示す。

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