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「沖縄 産業の島へ♯02」物流がつくる新ビジネス

日刊工業新聞社那覇支局開設記念特集より
「沖縄 産業の島へ♯02」物流がつくる新ビジネス

沖縄ヤマト運輸が運営するパーツセンター



食品分野に商機―商談会や輸出向けセミナー


 食品分野でハブ機能を大いに活用するのが食品商談会「沖縄大交易会」だ。食品単独の商談会としては全国最大規模。日本各地の産品を沖縄を通じて輸出することを主眼に置く。県内外の経済人でつくる沖縄懇話会(那覇市)が呼びかけて、2013年にプレ大会、14年に初開催した。15年の第2回からは実行委員会方式となり、11月26、27日に宜野湾市内で行う予定だ。

 内外のバイヤー約150社、メーカーなど日本全国のサプライヤー200社以上が沖縄に集まる計画。バイヤーには「沖縄に行けば全国のサプライヤーと交渉できる魅力」(事務局の沖縄県産業振興公社)をアピール。またサプライヤーには那覇空港を活用することによる輸出の優位性を訴えながら、参加企業を募集している。

 同時にメーカーなどサプライヤーの商談力を高める取り組みも行われている。「輸出戦略セミナー」では海外バイヤーとの商談時におけるアピールの方法などを実地を含めて学ぶ。内閣府沖縄総合事務局や沖縄県、中小機構沖縄事務所、ジェトロ沖縄、沖縄県産業振興公社が共同で主催し、サプライヤーをバックアップする。

 6月末に行われた1回目の研修では、「商談を成約に繋(つな)げるためのアプローチ法」をテーマにロールプレイングで経験を積んだ。バイヤー役の講師からは「バイヤーと友達になれば、何かあった時に声をかけてもらえる」「商品のエピソードやストーリーを話した方がよい」など実践的なアドバイスが飛んでいた。

港湾機能も強化―インフラ利便性向上


 一方で、空だけでなく海の物流でも優位性を発揮できるのが沖縄の特徴だ。航空便では那覇がアジアのハブだが、海運の面では台湾の存在感が強い。沖縄は台湾と距離的に近く、海運のハブ活用によるメリットを享受できる。そこで那覇港管理組合(那覇市)は台湾・高雄港などを管理する台湾港務と連携協定を結んだ。また琉球海運(那覇市)は14年に商船三井と業務提携。台湾・高雄港での貨物接続を始めている。

 港湾機能についても積極的なインフラ整備により強化が図られている。那覇港の新港ふ頭地区にある国際コンテナターミナルでは、荷役の効率化を目的にしたガントリークレーンを増設。15年から4機体制になった。また今後、3期にわたって敷地面積2・2~3・0ヘクタールの総合物流センター3棟が整備される。第1期は17年度完成予定で、物流を高度化する狙いだ。

 那覇空港と那覇港は両港をつなぐ「うみそらトンネル」を使えば車で約5分で行き来できる。大型の機械製品や物量が多い製品には、海運の利便性は不可欠。また海と空の使い分けができることも企業にとってはメリットだ。

(全4回、次回は7月16日に掲載)
日刊工業新聞2015年07月15日 特集「沖縄 産業の島へ」より抜粋
三苫能徳
三苫能徳 Mitoma Takanori 西部支社 記者
沖縄を取材していると、物流の存在の大きさを実感します。 沖縄は台風被害をよく受ける印象がありますが、空港の滑走路が閉鎖されて運用できない時間(期間)は、大雪と比べれば圧倒的に短いそうです。

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