もんじゅ廃止本格化、具体案示せていないナトリウム処理はどうする?

処分方法の判断は技術的な視点だけでなく、地元の受け止めも重要

 高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の廃止措置に向け、核燃料取り出しといった本格的な作業が今月下旬に始まる。国内初の高速炉の廃炉は2047年度までの30年間という長期にわたる計画。もんじゅを運営する日本原子力研究開発機構は、海外での高速炉廃止措置事例を参考に作業を進める方針だが、放射能を帯びた1次系ナトリウムの抜き取りや処分に対しては不安視する声も根強く、22年度をめどとした具体的な工程案の検討の行方が注目されている。

 もんじゅの廃炉措置は4段階に分かれる。22年度までの第1段階で最初に予定されているのが、核燃料の取り出しだ。早期に放射能のリスクを低減するために最優先で進める。

 具体的には、原子炉容器と炉外の燃料貯蔵設備にある530の燃料体を、水を張った燃料池に移す。燃料体には冷却剤のナトリウムが付着しているが、ナトリウムは水と爆発的に反応するため、専用設備で洗浄する。

 燃料体は6角形の柱状で互いに支え合っている。抜けると不安定になるため、1本取り出すごとに模擬燃料体を代わりに挿入して安定させる。

 こうした燃料体の移動作業は09年度以来。ナトリウム洗浄まで実施したのは2体のみだ。手順は確立されているものの、不透明なナトリウム中にあり肉眼で見えない燃料体を、遠隔操作で確実に移すのは簡単ではない。

 日本原子力研究開発機構でもんじゅを担当する伊藤肇理事は「安全が最優先。作業経験者もいるが、時間をかけて一から教育してきた」と話す。実際の設備を使った模擬訓練を続けるとともに、手順書の見直しやトラブル対応の最終確認を入念に進めている。

 廃炉措置の最大の課題の一つが、国内でほとんど経験のないナトリウムの取り扱いだ。まず、12月をめどに放射能汚染されていない2次系ナトリウムの抜き取りを完了する。そして23年度からの第2段階以降、最難関ともされる、原子炉容器内の放射能を帯びた1次系ナトリウムの処理、処分にとりかかる。

 原子炉容器内の1次系ナトリウムは、メンテナンス用の配管を利用して新設タンクに抜き取る計画だが、容器底部に約1立方メートルが残るとされる。配管や容器の内壁などに付着したナトリウムの処理も必要だ。そのまま設備を解体し、空気に触れると爆発の恐れがある。こうしたナトリウムの扱いについては、22年度までに計画を検討することとなっており、まだ具体的な案が示されないことも地元の不安を招いている。

 ただ、海外の高速炉廃止措置では複数の実績がある。例えば、米国や、英国の高速炉で適用された湿り窒素ガス法。少量の水蒸気を含む窒素ガスを注入し、残留ナトリウムと水を反応させ、安全な塩化ナトリウムに転換する。他にも、フランスなどで採用された二酸化炭素(CO2)を使う方法などがあり、いずれももんじゅで適用可能とみられる。

 原子力機構は、基本的に海外の高速炉廃止措置で実績がある技術を採用する方針で、海外に職員を派遣するなど、事例の研究を続けている。

 一方で、抜き取り後のナトリウムの処分方法については、国や放射性レベルなどの状況により大きく異なる。英国の高速原型炉「PFR」の場合は、塩化ナトリウムとした後、中和して塩としてから除染して海に放出。フランスの「スーパーフェニックス」は塩化ナトリウムのままセメントで固めた。

 どの処分方法が良いかは技術的な視点だけでなく、地元の受け止めも重要だ。原子力機構は、各国の原子力関連の機関とはこれまでも包括的な技術提携を結び、交流を重ねてきた。今後、さらに国内外のメーカーや電力会社などとも連携を深め、安全なナトリウム処分に必要な技術や知見を取り入れていく。
 

日刊工業新聞2018年7月5日

日刊工業新聞 記者

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07月05日
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もんじゅにおける課題抽出と評価を進め、早ければ18年末に考え得るナトリウム処理、処分方法の選択肢を示すとみられる。
(日刊工業新聞社・曽谷絵里子)

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