環境省や自治体が注目する東レの日傘用生地、新市場の開拓に自信あり

集会用テントやオープンカフェなどに提案

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東レのサマーシールドPBを使ったパラソル
 東レは、遮熱、遮光、UVカット機能を持ち合わせた日傘用生地「サマーシールド」の、集会用テントやオーニング(日よけ)などへの用途展開を今シーズンから本格的に始めた。ヒートアイランド現象や熱中症による死亡者の増加などの課題に対し、機能を向上させた製品で対応する。鈴木一弘スポーツ・衣料資材事業部部長に今後の戦略や方針を聞いた。

 ―サマーシールドの特徴は。
 「日傘用途で発売当時他になかった、裏面の黒色生地に中層の白色生地と表地の3層ラミネート構造で、高い遮熱、遮光、UVカット機能を実現した。中層の白地で反射しきれず透過した日光や地面からの照り返しを黒地で吸収し、顔周りの熱を大幅に軽減できる」

 ―用途展開の具体例は。
 「日本防炎協会が定めた要求に適合する防炎加工を施し、『サマーシールドPB』というブランドで、集会用テントやオープンカフェなどで用いられるオーニング用途などで提案を始めた。一般的な集会用テントは塩化ビニール素材の製品が多く、重くて寒い時には固くなるが、サマーシールドは軽く温度変化に左右されない。表地は東レのリサイクルポリエステルを使うなど環境に配慮した製品で、日本環境協会にエコマークを申請中だ。同生地は後染めのため、一般的な集会用テントより色の種類を増やしやすい。高機能と扱いやすさ、美粧性で他社製品と差別化を図る」

 ―市場性をどうみていますか。
 「2017年7月、サマーシールドを『猛暑対策展』に出展した際に環境省、地方自治体などから問い合わせがあり、需要があると感じた。また国が取り組む働き方改革の一環として、建設業など暑熱環境下で働く人の休憩場所としても提案している。同生地の開発段階で、沖縄のリゾートホテルに試験的に同生地製パラソルを納入すると、海の監視員から目が疲れなかったとの高評価を得た。広い分野でアピールしたい」

 ―海外への販売は。
 「東レの欧米やアジア拠点で、販売に向け市場調査中だ。特許などの確認ができ次第、海外でも販売したい。20年に開催の東京五輪・パラリンピックは、多くの訪日外国人客に同生地を認知させるきっかけになるはずだ」
東レ スポーツ・衣料資材事業部部長 鈴木一弘氏

(聞き手=大阪・大原佑美子)

日刊工業新聞2018年7月3日

COMMENT

東レは自社開発の高機能素材に付加価値を付け、新たな市場・用途を開拓している。サマーシールドを使った日傘は、値段は1万5000円程度と高価格だが「発売から7年以上たっても年間で約10万本売れている人気商品」(鈴木スポーツ・衣料資材事業部部長)。消費者には一定程度認知されている。サマーシールドPBも「ハイクラスを狙う」(同)とするが、国や自治体などへの認知度を高め、機能性をアピールできるかが市場開拓のカギとなりそうだ。 (日刊工業新聞社大阪支社・大原佑美子)

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