先駆者・キッコーマン、日本食ブームに頼らず海外展開拡大
次の狙いは南米・インド・アフリカ!
「しょうゆを世界中に広めたい」―。キッコーマンは北米事業の成功を踏まえ、欧州、豪州、アジアへと市場を次々に拡大。現在では海外に7生産拠点を配し、販売エリアを100カ国に広げている。グローバル展開をさらに加速するため、茂木友三郎取締役名誉会長は「残った地域を埋めていく」と語り、2030年までの長期ビジョンの実現に向け意欲を示す。
長期ビジョンでは日本、北米、欧州の先進国市場でトップのポジションを強固にするとともに、新興国市場の展開を加速する。茂木名誉会長が狙う“残ったエリア”とは、南米、インド、アフリカのことだ。茂木名誉会長は「南米とインドには5年以内、アフリカでは10年以内くらいに販売会社を設立していきたい」と構想を明かす。南米では20年代、インドとアフリカでは30年代以降で、市場の足場固めを進める。
ただ、これらの地域は、北米や欧州などの先進国市場とは異なり、乗り越えるべきハードルがある。一番の課題は、販売するよりも以前に「しょうゆという調味料とは何か」を一般の人々に理解してもらうこと。すでに米国ではしょうゆの認知度は高い。アジアでは古くからしょうゆの文化があり、キッコーマンのブランドも浸透してきた。また、日本食ブームが継続していることもあり、欧州各国でも同ブランドが一般に知られてきたという。
これに対し、残るエリアではしょうゆのなじみが薄い。世界的に日本食ブームが広がっていることから、これに乗ればそれほど難しい問題ではないようにも思える。しかし、茂木名誉会長は否定的だ。「料理ブームは続かないし、家庭に広まらないからあてにできない。現地料理に融合することが重要だ」と説く。南米市場は比較的、有望とみる。北米と同様に肉料理が食の中心にあるためだ。現地の嗜好(しこう)に合うレシピを開発すれば、北米モデルをあてはめやすい。
一方でインドとアフリカは課題が多い。両エリアとも人口が10億人を超える巨大市場。成功すれば事業として“化ける”可能性もある。ただ、インドはカレー文化の国。カレーとしょうゆを組み合わせていくには、「工夫が要るだろう」(茂木名誉会長)と指摘する。アフリカは平均所得が低く、市場開拓には時間がかかるとみられる。
長期ビジョン達成の課題は大きい。それでもキッコーマンはグローバル化を加速し、さらなる高みを目指す。
(文=井上雅太郎)
長期ビジョンでは日本、北米、欧州の先進国市場でトップのポジションを強固にするとともに、新興国市場の展開を加速する。茂木名誉会長が狙う“残ったエリア”とは、南米、インド、アフリカのことだ。茂木名誉会長は「南米とインドには5年以内、アフリカでは10年以内くらいに販売会社を設立していきたい」と構想を明かす。南米では20年代、インドとアフリカでは30年代以降で、市場の足場固めを進める。
ただ、これらの地域は、北米や欧州などの先進国市場とは異なり、乗り越えるべきハードルがある。一番の課題は、販売するよりも以前に「しょうゆという調味料とは何か」を一般の人々に理解してもらうこと。すでに米国ではしょうゆの認知度は高い。アジアでは古くからしょうゆの文化があり、キッコーマンのブランドも浸透してきた。また、日本食ブームが継続していることもあり、欧州各国でも同ブランドが一般に知られてきたという。
これに対し、残るエリアではしょうゆのなじみが薄い。世界的に日本食ブームが広がっていることから、これに乗ればそれほど難しい問題ではないようにも思える。しかし、茂木名誉会長は否定的だ。「料理ブームは続かないし、家庭に広まらないからあてにできない。現地料理に融合することが重要だ」と説く。南米市場は比較的、有望とみる。北米と同様に肉料理が食の中心にあるためだ。現地の嗜好(しこう)に合うレシピを開発すれば、北米モデルをあてはめやすい。
一方でインドとアフリカは課題が多い。両エリアとも人口が10億人を超える巨大市場。成功すれば事業として“化ける”可能性もある。ただ、インドはカレー文化の国。カレーとしょうゆを組み合わせていくには、「工夫が要るだろう」(茂木名誉会長)と指摘する。アフリカは平均所得が低く、市場開拓には時間がかかるとみられる。
長期ビジョン達成の課題は大きい。それでもキッコーマンはグローバル化を加速し、さらなる高みを目指す。
(文=井上雅太郎)
日刊工業新聞2018年6月27日