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米ゼロックスのアジア進出は「非常に難しい」と富士フイルムHD

単独での進出なら膨大なコスト
米ゼロックスのアジア進出は「非常に難しい」と富士フイルムHD

富士フイルムHDは、米ゼロックス単独でのアジア進出は現実的でないと見る

 富士フイルムホールディングス(HD)は、米ゼロックスがアジア進出を表明したことに対し、「現時点でアジアに販路のない米ゼロックスが一から販路を構築し、販売することは現実的には非常に難しい」とコメントした。米ゼロックスはアジアに販路がない上、製品の開発・生産機能のほぼすべてを富士ゼロックスに依存している。「仮に単独でアジアに進出するならは、保守・メンテナンスの体制も構築する必要があり、膨大なコストがかかる」(アナリスト)との指摘もある。
別記事「今後のシナリオは4つ!富士フイルムVS物言う株主」へ

 米ゼロックスは25日に、富士フイルムHDに対し、2021年に期限を迎える両社の提携契約を更新しない方針を伝えた。現在は両社の合弁会社である富士ゼロックスが担うアジア太平洋地域に自ら進出し、自社製品の販売を始める意向も明らかにした。ゼロックスが、富士フイルムHDの古森重隆会長に宛てた書簡を公開した。

 現在、富士フイルムはゼロックスが買収合意を一方的に破棄したのは契約違反として約1100億円の損害賠償を求める訴訟を起こしている。これに対し、ゼロックスのジョン・ビセンティンCEO(最高経営責任者)は書簡で「絶望的で見当違いの交渉上の策略に過ぎない」と批判。提携関係を打ち切り、アジア太平洋洋地域に進出する考えを示した。

 富士フイルムHDによると、提携契約は5年ごとの更新で、次回の満期日は2021年3月末。ゼロックスが満期の6カ月前に更新しない旨を書面で意思表示すれば、富士フイルムの同意なく、提携自体は解消できるという。
(文・杉浦武士)

(2018年6月27日エレクトロニクス面)
梶原洵子
梶原洵子 Kajiwara Junko 編集局第二産業部 記者
単独でのアジア進出は現実的ではありませんが、仮に単独でない場合はどうでしょうか?アジアでの富士ゼロックス複合機の高いシェアを奪いたい競合はいます。ただ、世界で最も急激にペーパーレス化が進んだ米国に続き、新技術にどん欲な中国のペーパーレス化も早そうです。東南アジアは成長しますが、国の数が多く、手間もかかる。今回の米ゼロックスの方針に対し、他の事務機器メーカーは反応するでしょうか。

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