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ホシザキの保守、1人日平均10店舗でアイテム約5000種

アフターサービスに磨きをかける新人研修とは
ホシザキの保守、1人日平均10店舗でアイテム約5000種

全国の新卒社員が新研修センターに集まり、座学と実習で保守の基本を学ぶ

 ホシザキは製氷機65%、業務用冷蔵庫44%、食器洗浄機44%、生ビールディスペンサー69%と主力4製品すべてが国内シェアで高水準を誇る。グループで国内445営業拠点に2500人の担当を抱える手厚い保守体制は他社の追随を許さない。また10億円をかけて愛知県豊明市の本社に「ホシザキ研修センター」を新設し、全国に分散していた保守担当の新人教育を2017年4月から一元化。アフターサービスに磨きをかけている。

一人前に数年


 ホシザキの製品は油を扱い高温で繁忙な厨房(ちゅうぼう)で使われる。正しく保守しないと「冷えない」「電気代が高くなる」など不具合が出る。同社は半年に1度の定期保守サービスを推奨する。

 保守担当は1人1日平均10店の飲食店や小売店を回る。扱うアイテムは仕様の違いも含め約5000。マニュアルは携帯情報端末で確認できるが、全製品の保守・修理ができる一人前になるには数年かかる。技能向上のため、独自の認定制度も設けている。

技術レベル向上


 以前は全国15の販売会社に任せていた新入社員の保守担当研修を、17年からはホシザキ研修センターで4―6月にフルタイムで行う。4主要製品別に30―60人規模の研修室を設け、座学と実習を合わせて行う。実習機も2、3人あたり1台ずつ配置。研修生が実際に実習機に触れる時間を以前の数倍にした。

 「販社ごとにバラつきが出がちな研修内容を統一し、保守技術の水準を高めたい」と西潟康司営業部長は説明する。チェーン店の納入先が増え、全国規模で同質の保守サービスを提供する必要性も高まっていた。

“一体感”高める


 西潟部長は研修の一元化に「ホシザキグループの一体感」も期待する。従来、販社の保守担当は他の販社の担当やホシザキ本社の社員と交流する機会がなかった。現在の研修は所属販社に関係なく混合グループで行う。

 「同じ釜の飯を食った同期なら、自主的な情報交換もしやすいはず」と西潟部長。17年6月の新研修センター1期生の研修解散式では各グループのあいさつごとに歓声があがり、感極まって泣きだす研修生もいた。
日刊工業新聞2018年6月26日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
現在はホシザキ本社の全新入社員を含む70人が研修に参加している。10月と3月には各1週間のフォロー研修も予定し、保守技能とともに“一体感”も高める。「ベテランや海外の保守担当などもセンターに呼びたい」(西潟部長)とし、アフターサービスでの差別化をさらに進める考えだ。(名古屋編集委員・村国哲也)

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