福島第一原発の燃料デブリ取り出しまであと3年も…計画立たず

ロードマップ見直し必要か

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内部調査用蛇腹アームロボの設置イメージ(東電提供)
 東京電力福島第一原子力発電所の2021年の燃料デブリ(圧力容器から溶け落ちた核燃料)の取り出し開始目標が予断を許さない状況にある。期間は残り3年だが、まだ内部調査の計画段階で取り出し法の計画が立っていない。21年に始まるのはサンプル採取レベルの取り出しなのか、本格的なデブリ取り出しなのか。ステップ・バイ・ステップでロードマップそのものを見直していくことが必要になるかもしれない。(小寺貴之)

 「まだ3年あるではなく、もう3年しかない」と東電福島第一廃炉推進カンパニー小野明プレジデントは危機感を隠さない。燃料デブリの取り出し開始は、震災から10年の節目に向けた目標の一つだ。福島第二原発も廃炉に向けた検討が始まり、地域復興の大きなマイルストーンになる。

 ただその工法決定は一筋縄ではいかない。東電は17年9月の中長期ロードマップの改訂で取り出し工法の確定時期を、18年の上半期から19年度内に先送りした。約1年半の猶予ができたが、まだ格納容器の内部が見えた段階で、格納容器の底に広がった堆積物が核燃料なのか、泥などの堆積物なのか、分布や量を判断できていない。

 格納容器の内部調査を終えた後にサンプリングと小規模デブリ取り出し、大規模取り出しと段階を踏んで進む予定だ。

 サンプリングも小規模取り出しの計画も規制側に承認されていない。サンプリングも小規模取り出しも放射性物質を格納容器の外に出すため厳重な管理設備が求められる。一朝一夕では現場に設営できず、また作業者は数カ月単位の事前訓練が必要だ。これまで内部調査は1―2年間隔で進められてきた。現在、東電はサンプリングと小規模取り出しの境界をあいまいにした工程表を提示している。

だがサンプリングと取り出しは明確に分けて定義されている。取り出しは対象の性状を把握した上で、確かな管理方法に基づいて取り出され保管される。つまり取り出す対象の性状がわからなければ取り出しではない。「性状がわからなければ純核燃料とみなして扱うことになる」(資源エネルギー庁)。残り2年弱で内部調査とサンプリング、性状把握を終える必要がある。

 一方、足元ではサンプリングの妥当性を議論している。堆積物の表面だけを採取してもデブリの性状や分布を調べきれないためだ。八木秀樹東電原子力・立地本部長代理は「表面だけでは代表性を担保できない」という。全体の把握には小径でもボーリング調査のように掘削し、深さ方向の情報が必要になる。

 これは実質的に取り出し相当の封止管理体制が求められる可能性がある。工法設計に関わる技術者の間には1年前から「次は大がかりにやらないと意味がない」という声もあった。東電はロードマップ改訂でステップ・バイ・ステップの工法選定を勝ち取った。工法を決め打ちせず、段階的に検証しながら進めることが認められた。だが大きな決断が求められる状況にある。

日刊工業新聞2018年6月21日

COMMENT

小寺貴之
編集局科学技術部
記者

「安全や封じ込めに不安があるならやらない方がいい」、「計画を守ることが目的ではない」という意見はその通りです。一方で震災10年目のデブリ取り出しが実現しないと、それはそれで廃炉の歴史上エポックなことになってしまいます。そのため3年前にもかかわらずプレッシャーが大きくなっています。政治・社会的なプレッシャーが大きくなる前に技術的な道をつけないと、技術者にとって不本意な工法選定になりかねないのでいまが正念場だと思います。

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