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整備出身のJAL新社長が目指す“壊れない飛行機”

赤坂社長に聞く「取り組みは世界的にも注目されている」
整備出身のJAL新社長が目指す“壊れない飛行機”

「技術に依存するのではなく、技術者を養成し両輪とする」と赤坂氏

 4月1日に就任した日本航空(JAL)の赤坂祐二社長。早々、中長距離LCC(格安航空会社)設立を打ち出した一方、飛行中の航空機からエンジン部品が落下するトラブルも発生。攻守両面で、かじ取りが問われている。赤坂社長に安全運航への思いやLCC、成長のカギを聞いた。

 ―航空機の安全運航は最大の課題です。
 「あらためて責任の重さを痛感している。整備出身者として、もっとやるべきことがあると強く感じている。(エンジン部品を落とす)重大インシデントを起こし、熊本県益城町の皆さんには、たいへん迷惑をかけた。航空安全は、飛行機に乗っている人だけではなく地上に被害がおよぶ。安全の対象を幅広く捉え、全力で取り組む」

 ―整備部門はイレギュラー運航や飛行中の故障ゼロ、定時出発100%など“ゼロゼロ100”と呼ぶ目標を掲げています。
 「必ず達成できると自信を持っている。整備本部長の時に中期経営計画の(内部)目標として設定した。航空業界全体を、壊れる前に飛行機を修理していく予測整備“壊れない飛行機”という考え方に向かわせたい。JALの取り組みはボーイングやエアバスをはじめ、世界的にも注目されている。できれば真っ先に実現したい」

 ―実現のカギは。
 「最終的には人だ。いろんな最新技術を使って予測整備に取り組み成果が出ているが、頼りになっているのは整備士の経験や勘。技術を進歩させる上で非常に重要だと再認識している。技術に依存するのではなく、並行して技術者を養成し、両輪とすることが大事だ」

 ―LCC新会社ではどこにJALらしさを出していきますか。
 「新会社設立に向けて最終的な準備を進めている。安全に関するノウハウは、JALが全面的に注入する。サービスは、まったく新しいコンセプトだが大事なのはサービスをする人のホスピタリティーや考え方、思いだ。JALの人材を新会社に、全面的に注入する必要がある。形は違うが、そこにある人の思いや精神は同じだ」

 ―最新のICT(情報通信技術)やロボットなどの活用は。
 「最新技術を用いて搭乗客がストレスを感じないサービス、商品を作りたい。LCCでも同じだ。そのため、新しい技術やサービスを実証的に検証する施設“イノベーションラボ”を作った。技術は単に人の作業を機械に置き換えるのでなく、新しいモノやサービスを生み出すために使わなければならない」
日刊工業新聞2018年6月19日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
JALは昨春まで事実上、国の経営監視下にあった。赤坂社長が担うのは再建でなく成長だ。中期経営計画を実現に導き、確固たる哲学を共有した社員との新生JALの創造が期待されている。「必ずできる」のような、まっすぐな発言が印象的だった。毎日の安全運航を影で支えてきた技術者の誇りと強い責任感を垣間見た。 (日刊工業新聞・小林広幸)

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