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JAL「787-9」、足もと立体交差の新ビジネスクラス

成田-クアラルンプール線で就航、順次路線を拡大
JAL「787-9」、足もと立体交差の新ビジネスクラス

ビジネスクラスシート「スカイスイートIII」

 日本航空(JAL)は7月31日、ボーイング787-9型機の新仕様機を国際線に正式就航させた。成田-クアラルンプール線(JL723/724便)から投入し、順次路線を拡大していく。出発前には、機内が報道関係者に公開された。

 新仕様機の座席数は3クラス203席で、ビジネスクラス52席、プレミアムエコノミー35席、エコノミー116席。既存仕様の787-9は3クラス195席で、ビジネスクラスのシートを変更することで座席数を8席増やした。

 既存の787-8や787-9と同じく、全クラスのラバトリー(洗面所)に温水洗浄機能付き便座「ウォシュレット」を装備。機内エンターテインメントシステム(IFE)は仏タレス製「MAGIC-VI」を搭載し、無線LANによる機内インターネット接続サービス「スカイWi-Fi」にも対応している。

 東南アジアなど中距離国際線を中心に投入する予定。時刻表では「SS9 II」、機内座席配置は「E91」(従来仕様はE71)と表記する。E91の初号機(登録番号JA869J)は、現地時間7月17日にボーイングのチャールストン工場で引き渡され、日本時間19日に到着した。JALの787-9としては9号機になり、同機を含む4機がE91仕様で導入予定になっている。

ビジネスクラス


 ビジネスクラスの名称は「スカイスイートIII」。フルフラットシートを斜めに配置する「ヘリンボーン配列」で、座席配列は全席から通路へアクセス出来る1-2-1席配列を採用した。シートを足もとで立体交差させ、内側に小物入れのある可動式アームレストを通路側に設けた。

 2016年6月に就航した777-200ERの新仕様機「スカイスイート777」で採用したシートを、787-9の機体に合わせた。開発を担当したJAL商品・サービス企画本部開発部空港サービス・客室仕様グループの西垣淳太アシスタントマネジャーによると、787は777よりも胴体径がやや小さいため、中央席左右のシートが交差する角度を調節して収まるようにしたという。この結果、前後のシート間隔が2インチ(約5センチ)広がった。

 ベッドの長さは最大約198センチ、ベッド幅は約53センチ、シート幅は約51センチで、個人用モニターは17インチのものを採用する。収納式の大型ダイニングテーブルを備え、ノートパソコンで作業しやすくした。全席に電源コンセントと充電用USB端子を設けた。シートメーカーは、ゾディアック・シート・UK。

 777-200ERのシートからの変更点としては、ボーイングが採用した新基準に基づき、3点式シートベルトに変更。従来足もと付近にあった雑誌入れを入口近くに移すなど、乗客から寄せられた声を反映し、居住性を改善したという。

 また、ビジネスクラス用ギャレー(厨房設備)も機器を見直し、電子レンジを1台追加し、2台にした。これまでのJALの787は、すべて前方ギャレー(R1ドア付近)のみに1台備えていたが、ビジネスクラスの席数が増えたことから、同じ電子レンジをビジネスクラス間にあるギャレー(L2/R2ドア付近)にも設置した。
中央席の足もとが立体交差する787-9のビジネスクラスシート

プレエコ


 プレミアムエコノミークラス「スカイプレミアム」と、エコノミークラス「スカイワイダー」は従来の787-9と同様のシートを採用する。プレミアムエコノミーは、2-3-2の横7席配列。主な機能やデザインはスカイスイート787と同じで、前席の背もたれが倒れてこない「フィックスド・バック構造」を採用している。

 シートピッチは約107センチ(42インチ)で、座席幅は約49センチ(19.4インチ)、個人モニターは12.1インチ(最前列のみ10.6インチ)となる。シートメーカーは、ゾディアック・シート・フランス。

 エコノミーは、横9席が世界的に主流となっている787のエコノミーの中で、既存機と同じ8席を維持。9席配列と比べて、シート幅は約5センチ広くなる。

 シート幅をプレエコ並みの約48センチ(19インチ)、シートピッチを現行の約79センチ(31インチ)より約5センチ広い約84センチ(33インチ)とすることで、快適性を訴求していく。足もともIFE機器のボックスがなくなり、広くなった。

 個人モニターは10.6インチで、全席にパソコン用電源とUSB端子を備える。プレエコ並みのシート幅や足もとの広さで、快適性を訴求する。シートメーカーは、ゾディアック・シート・US。

中距離国際線用


 中距離国際線用となるE91の787-9は、成田-クアラルンプール線(火曜日除く)と成田-大連線(火曜日のみ)の2路線に投入。機材繰りの関係で、7月28日から30日まで臨時でクアラルンプール線に投入し、31日が正式投入となった。

 31日のクアラルンプール行きJL723便は、乗客194人(ビジネス44人、プレエコ34人、エコノミー116人)を乗せ、午前11時29分に成田空港62番ゲートから出発した。乗客には東北産コットンを使った手ぬぐいと、青森県産の藍(あい)の葉を活用した消臭スプレー「セフィーコ」がプレゼントされた。
E91仕様機運航スケジュール(8月31日まで)
成田-クアラルンプール線
JL723 成田(11:20)→クアラルンプール(17:45)
JL724 クアラルンプール(22;50)→成田(翌日07;05)
*火曜のみ787-8で運航。
成田-大連線
JL827 成田(09:30)→大連(11:45)
JL828 大連(13:00)→成田(16:55)
*火曜のみ787-9で運航。
吉川忠行
吉川忠行 Yoshikawa Tadayuki Aviation Wire 編集長
JALの787-9新仕様機が就航。これまでの機材は長距離国際線向けのビジネスクラスでしたが、中距離国際線向けにした機材です。 成田−クアラルンプールを皮切りに順次路線を拡大していきます。

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