IT保守サービス企業が非IT人材の育成に注力のワケ

日立システムズフィールドサービス、事業領域を拡大へ

 日立システムズフィールドサービス(東京都江東区、飯間正芳社長、03・5621・2920)が事業領域の拡大を目指し、「人財教育」に取り組んでいる。社内に整備する訓練施設「テクニカルスキルデベロップメントセンタ(TDC)」で新事業領域拡大に向けた実践的な訓練に力を入れる。多様な技能を持つ人財を育成し、IT分野の保守工事だけでなく、太陽光発電装置や電気自動車(EV)充電設備、鉄道系の通信の保守・工事など非IT分野へ事業を拡大していく。

 TDCは同社本社の1階部分に設置している。広さは約820平方メートル(248坪)で、サーバーや現金自動預払機(ATM)などの実機を置く部屋が六つある。本社敷地内には太陽光発電装置も置き、実技優先の訓練を実施する。受講するのは新人技術者ではなく、既にさまざまな資格を有するカスタマーエンジニアだ。日立製品の保守・工事・ビジネスサポートだけでなく、さまざまな機種や設備など新分野で必要な技能や資格の獲得に取り組む。例えばサーバーの保守・点検を訓練する「ラック道場」では、わざと光ケーブルが抜けやすい構造にしているなど複数の“トラップ”を仕掛けることで、緊張感やリアルな現場での作業を追求している。

 2017年度は55コースを開講。全454回の講座を開き、2594人が受講した。山口隆治TDC長は「工事技能の取得、品質向上、安全教育の徹底が3本柱だ」と語る。

 TDC自体は15年に運用を開始したが、17年度には仮想現実(VR)を活用した疑似体験訓練や感電訓練などを追加したほか、18年度からは鉄道系の強度限界測定装置の操作訓練を始めるなど業務拡大に合わせ講座も拡充している。18年度には全カスタマーエンジニアの半数が電気工事士の資格を取得できるよう推進している。

 IoT(モノのインターネット)時代では、すべてのモノにネットワークが関係する。監視カメラを取り付けるにもシステムそのものを稼働させるだけではなく、高所での作業のほか耐震性なども考慮しなければならない。

 忽那達也専務取締役は「複数の資格を取得し、さまざまな作業を一人でできることは今後大きな武器になる」と期待する。

日刊工業新聞2018年6月8日

日刊工業新聞 記者

日刊工業新聞 記者
06月11日
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同社では技術や品質の向上を目的とした社内競技会「工事技能競技会」を毎年開催している。競技は、あと施工アンカー耐震作業や電気配線作業、屋外監視カメラの高所設定など多種目。TDCで学んだ技術を確認する場を設け、モチベーションの維持向上にもつなげている。
(日刊工業新聞社・川口拓洋)

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