中華圏の訪日需要を掴むにはスマホ決済が欠かせない

松屋や東武百貨店が対応急ぐ

 中華圏の訪日客増加を背景に、小売店や飲食店がスマートフォン決済の導入を進めている。観光客が現金を日本円に両替することなく、少額決済がしやすい状況を整える。中華圏で進んでいるキャッシュレスサービスへの対応を進め、顧客の取り込みを図る。

 東京・銀座などで百貨店を運営する松屋は4月、中国銀聯が提供する非接触IC決済「クイックパス」を導入した。日本の百貨店では初めてだとしている。秋田正紀社長は「他店との差別化につなげる」としている。

 東武百貨店(東京都豊島区)は池袋本店(同)で、中国のテンセントが展開する「微信支付(ウィーチャットペイ)」とアリババグループの「支付宝(アリペイ)」を4月下旬に、一部テナントを除く全館で導入。ぐるなびは飲食店向けに微信支付、支付宝を搭載した決済サービスを、夏に始める。

 「アースミュージック&エコロジー」などのアパレルブランドを展開するストライプインターナショナル(岡山市北区)はアリババと協業し、店舗に支付宝を導入する方針だ。石川康晴社長は「支付宝でインバウンド(訪日外国人)の情報を集め、(アリババの越境ECサイト)天猫国際で強烈な(販売)拡大を描きたい」と話す。

 一方、コンビニエンスストアの対応はまちまちだ。ローソンは全店舗に支付宝を導入しているものの、微信支付は使えない。セブン―イレブン・ジャパンは両サービスとも未導入。ファミリーマートは支付宝を約170店舗、微信支付を約160店舗で導入している。

 中国のIT企業側も日本市場をビジネスチャンスに見込む。アリババ日本法人の香山誠社長は「タクシーや飲食店などでの(支付宝利用の)需要を喚起し、訪日外国人の利便性を上げたい」と話す。

 「日本への観光は買い物が主目的。『どこで買うか』は来日前に決めている」。テンセントでシニアディレクターを務めるベニー・ホー氏は4月下旬、日本企業のマーケティング担当者ら向けセミナーで語りかけた。中国の消費者にアプローチする手段として、同社のメッセージアプリ「微信」などのサービスの活用を促す狙いだ。

日刊工業新聞社2018年6月7日

江上 佑美子

江上 佑美子
06月07日
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政府は現金以外による決済比率を25年ごろまでには、15年時点の倍以上となる4割に引き上げる目標を立てている。このキャッシュレス化推進の流れも端末整備などの追い風となりそうだ。
(日刊工業新聞社・江上佑美子)

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