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社長が代わるNTT、次期経営陣に求められること

AIやIoT活用の新ビジネスがカギに
社長が代わるNTT、次期経営陣に求められること

握手を交わす鵜浦社長(左)と沢田次期社長

 NTTは持ち株会社の社長に沢田純副社長(62)が6月に昇格し、東西地域会社、NTTデータの社長も交代する。顧客のビジネス変革を支えるサービス提供という、現在の鵜浦博夫NTT社長(69)の路線を引き継ぎつつ、人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)を用いた新ビジネスを世界規模で提供する体制強化が次期経営陣に求められる。

 「(鵜浦社長は)当期利益の過去最高値を3期連続で更新し、大きく会社を変えた。後任になったのは光栄であると同時に大変な重責だが、覚悟して臨みたい」―。沢田次期社長は就任への決意をこう述べた。

 NTTの2018年3月期連結決算(米国会計基準)は売上高、営業利益、当期利益で過去最高を記録した。鵜浦社長が就任から6年で進めたグローバルビジネスの成長、国内ビジネスの収益力回復の成果と言える。就任前は「1人負け」と言われたNTTドコモが料金プランを家族シェア型に移行し、競争力を回復。固定音声の収入減に苦しむ東西地域会社は小売りモデルから卸し型の光コラボレーションモデルへ変革し、販売を効率化した。

 今後の成長の柱となる世界規模でのクラウドビジネスについても、南アフリカのIT子会社ディメンション・データと、NTTコミュニケーションズのクラウドサービス開発部門の統合などで手を打った。

 相談役に退く鵜浦社長は6年前の就任時に「(社長を退いた後に)大きな舵を切ってもらってよかったと後輩たちに言われるような仕事をしたい」と語っていた。その大きな舵を切った後は「篠原弘道会長(現副社長)、沢田社長という新体制でと2年前に決めていた」と明かす。

 NTT東日本の社長には同社の井上福造副社長(62)、NTT西日本の社長に持ち株会社の小林充佳常務(60)、NTTデータは本間洋副社長(62)が昇格する。「バリューパートナーを目指して自己変革する基本を継承しながら新しいサービスを加えていく」(沢田次期社長)ことが次期経営陣の課題となる。
日刊工業新聞2018年5月14日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
 NTTは18年4―9月期連結決算発表に合わせた新たな中期経営計画を策定する。20年の第5世代通信(5G)導入など今後の節目を展望し、3年、5年、7年という時間軸を区切って目標と取り組みを策定する予定だ。沢田次期社長は、社員1500人のうち日本人は100人のみのNTTセキュリティの社長も兼務していた。国際化を熟知した中でどのような目標を示すのか、注目されそうだ。 (日刊工業新聞社・水嶋真人)

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