東北の最高学府、「指定国立大学」への覚悟

大野総長に聞く「世界最高水準の知の創造を先導する」

2017年に指定国立大学に指定された東北大学。100年を超す伝統を基盤に壁を乗り越え、世界へ挑戦する途上にある。不透明な社会にあって大学を取り巻く状況も厳しさを増すなか、どのようにかじを取るのか。4月に就任した大野英男総長に今後の展望を聞いた。

 ―将来に向けてどのような大学像を描きますか。
 「世界最高水準の知の創造と、未来を開く変革を先導する大学を目指す。その実現のため教育、研究、社会連携の循環に最も力を入れたい。本学の国際集積エレクトロニクス研究開発センター(CIES)や、国際共同大学院といった好循環のモデルを全学に展開する。30年までの長期ビジョンや任期中のプランも作成中で、年内にも発表したい」

 ―今後の課題や重点分野は。
 「産学連携に注力したい。一つは産業界に貢献する活動の強化。民間と連携した事業による収入も増やし、現在の約5倍の165億円を目指す。もう一つは産学連携を全学で応援する体制づくり。本学の青葉山新キャンパスは産学共創の研究拠点として整備が進んでおり、次世代放射光施設の建設候補地にもなっている。将来は民間企業も誘致し、大型産学連携拠点にしたい」

 ―大学再編や大学経営についてどう考えますか。
 「学内組織の好循環を実現する上で、部局間の横連携などを担当するプロボスト(総括副学長)を4月に設けた。数年かけて効果が現れるだろう。大学再編については、18歳人口の減少を理由として予算を減らすことが目的ならば賛成はできない。本学に関しては白紙の状況だが、オープンマインドで対応していきたい」

 ―次世代技術への対応など未来の展望をお聞かせください。
 「第4次産業革命などで、社会が大きく変わろうとしている。本学としては研究と教育の両輪で対応する。特に人工知能(AI)についてハードウエアやソフトウエアの開発を進めている。教育は未来への投資だ。挑戦しようとする学生の気持ちを受け止め、伸ばす環境を整えたい。それが不透明な未来に対する唯一の解となる。学生たちには、自分たちが未来を開くんだという思いを持ってほしい」

【略歴】
大野英男(おおの・ひでお)82年(昭57)東大院工学系研究科博士課程修了。83年北大工学部助教授。94年東北大工学部教授。13年同大電気通信研究所長。16年同大スピントロニクス学術連携研究教育センター長、18年総長。東京都出身、63歳。


                  

(聞き手=仙台・田畑元)

日刊工業新聞2018年5月25日

日刊工業新聞 記者

日刊工業新聞 記者
05月27日
この記事のファシリテーター

東日本大震災を経て「私たちに何ができるのか問い続けてきた」との言葉が印象的だった。その一つの答えが「社会とともにある大学」のスローガンだ。変革期の中で発展を模索する上での羅針盤とも言える。課題先進地域と言われる東北で地域の人々と伴走し、リードしていきたいとの思いを感じた。
(日刊工業新聞仙台・田畑元)

この記事にコメントする

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。