独立「東芝メモリ」に接近する2つの巨大半導体メーカー

マイクロンとインテルの米国勢、対サムスンで協業も

 東芝メモリ売却の陰で、動向が注視されている二つのメモリーメーカーがある。NANDシェア5位の米マイクロン・テクノロジーと、同6位の米インテルだ。両社は3D構造NANDメモリーの開発で協業してきたが、19年以降にその関係を解消すると発表している。ただし単独で競争を勝ち抜くのは難しく、「東芝メモリと協業するのでは」との見方が根強い。

 特にインテルは、DRAM時代から協業していた経緯もあり「東芝との関係は深い」(業界関係者)。東芝メモリを買収する「日米韓連合」のメンバーでありながら、持ち分や協業範囲に制限のある韓国SKハイニックスからは、新たな協業の枠組みを警戒する気配もある。

 NAND型フラッシュメモリーで、世界シェア2位を誇る東芝メモリ。先行きの見通せない1年以上の売却劇の中、その地位はじわじわと浸食されてきた。2016年に17・4%だったシェアは、17年に16・2%に低下。一方で首位を走る韓国サムスン電子は、同40・4%と16年より4ポイント以上シェアを伸ばし、東芝メモリを突き放す。

 サムスンの原動力は、年間1兆円規模におよぶ巨額の設備投資だ。投資の中心は、より大容量化が見込める3次元(3D)構造のNANDメモリー。汎用品であるメモリーで市場競争を勝ち抜くには、積極的な設備投資で歩留まりを高め、コストを下げることが必須。投資の規模がモノを言う世界だ。

 英調査会社IHSマークイットの南川明主席アナリストは「東芝メモリは技術よりも、投資のタイミングでサムスンから出遅れた」と指摘。「今、大きく投資して追いつかないと、勝てない」と断言する。

 東芝という親元から外れた方が、変動の激しいメモリービジネスでの機動性が増し、競争力が高まるからだ。東芝メモリは3年後をめどに、新規株式公開(IPO)を目指している。それまでにサムスンとの距離を縮め、企業価値を高められるか。実力を見極めるのは、これからが本番だ。
                      

日刊工業新聞2018年5月21日の記事から抜粋

政年 佐貴惠

政年 佐貴惠
05月23日
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 現在、東芝メモリは続々と新棟の建設計画を立ち上げ、積極攻勢に打って出ている。16年には主力の四日市工場(三重県四日市市)で、新第2製造棟が稼働。第6製造棟も今夏に稼働する予定で、最先端の96層品の量産を始める計画だ。
 岩手県北上市でも新棟の建設に着手し、19年にも完成する予定。さらに四日市では第7製造棟の新設に向け、工場隣接地の土地買収を交渉中だ。東芝メモリの成毛康雄社長(東芝副社長)は「年間三千数百億円規模を投資する」と表明した。協業する米ウエスタンデジタルとも、共同投資を進める意向だ。
 新工場が毎年立ち上がるような精力的なイメージだが、実は東芝メモリに残された時間は短い。20年頃には、中国のメモリーメーカーが本格的に立ち上がってくると見られる。そうなれば過剰供給で市況悪化は避けられない。すでに足元では東芝や他のメモリーメーカーによる増産投資の影響で、NAND市況が軟化してきた。中国が台頭するまでに市場での優位性を確立できるか。この2―3年が勝負だ。

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