PEファンドが事業承継で存在感、中小機構が上限値60億円を出資

地域企業に円滑に資金が流れる仕組み作り

 中小企業基盤整備機構は独立系ファンド、ニューホライズンキャピタル(NHC、東京都港区)と中小企業の事業承継や成長支援で連携する。中小機構はNHCが手がけるファンドに過去最大規模となる約60億円を出資。中小機構は初めて出資金額の上限値を出資する。最終的なファンドの資金は250億円規模を想定する。中小企業の経営課題が多様化する中、支援規模や成長投資を拡大。地域の中核企業の課題解決を図ることで地域経済の活性化も促す。

 中小機構が出資するのはNHCが2017年から募集する成長支援ファンド「ニューホライズン3号投資事業有限責任組合(NH―3)」。NH―3はすでに150億円に達する見込み。複数の投資案件を検討しており、製造業や出版業など業種も幅広い。

 中小機構は経済産業省が掲げる「地域経済牽引事業」を促進する事業の一環と位置づける。17年7月に施行した地域未来投資促進法に基づく地域経済投資の第2弾となる。地域経済の課題が複雑化する一方、地域の中核となる中小企業や産業を活発化させるのが狙い。これまでは個社への支援が多かったが、“起爆剤”となる企業を中心に地域経済の発展に結びつける。

 中小機構が連携先として選んだNHCは多数の中堅・中小企業の事業承継や事業再生を手がけており、同法に適した事業承継や成長支援、カーブアウト(事業の切り出し)の実績がある。投資に伴う産業や業界再編も促しており、事業の社会性の高さも評価された。

 また、組成ファンドの投資家は地方の金融機関などが約8割を占めており、地方銀行と勉強会や人材交流など連携を深めている。

日刊工業新聞2018年5月2日

安東 泰志

安東 泰志
05月02日
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 「地方創生」が叫ばれて久しいが、地域の活性化は、地域企業に円滑に資金が流れなければうまくいかない。単にゾンビ企業を存続させるのではなく、転廃業、新規産業の育成、事業の成長支援などを切れ目なく行ない、地域と日本にとって社会的意義がある事業を再活性化し守っていくために金融が果たす役割は大きい。金融庁は地域金融機関向けに事業性評価融資を掲げるが、地域金融機関にはバリューチェーンを理解して事業性評価が出来る人材は乏しい。そこで必要になるのはエクイティ性資金が出せ、バリューチェーンを理解し、地域金融機関と協力しながらハンズオンで事業活性化ができるPEの機能だ。
 経済産業省は地域未来投資促進法を昨年施行し、それに相応しいPEファンドに、中小機構を通してシードマネーを供給している。ニューホライズンキャピタルが受けた60億円という金額はこれまでの最高で、総額200〜250億円の新ファンドの中核となるものだ。

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