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最高益のソニー、赤字でも撤退しないスマホはどうなる?

「5Gで大きな果実をもたらす可能性がある」
最高益のソニー、赤字でも撤退しないスマホはどうなる?

「守る所は守り、攻める所は攻める」と宣言した吉田社長

 ソニーが再成長の第2ステージに踏み出す。2018年3月期連結決算(米国会計基準)は、営業利益が前期比2・5倍の7348億円、当期利益が同6・7倍の4907億円。それぞれ97年度と07年度以来の過去最高を更新した。3カ年中期経営計画は、目標数値を大きく超えて“有終の美”を迎えた。ただ19年3月期は一転、減収減益予想とする。そこには吉田憲一郎社長兼最高経営責任者(CEO)の、真の成長に向けた決意がにじむ。

 18年3月期連結決算は、ほぼ全ての事業で増収増益を達成した。しかし19年3月期予想は売上高が同2・9%減の8兆3000億円、営業利益が同8・8%減の6700億円。

 十時裕樹最高財務責任者(CFO)は「利益持続性に主眼を置く」と説明する。より筋肉質な経営体質を作り、確実に利益を伸ばせる体制を整える構えだ。

 最大の課題はスマートフォンなどのモバイル事業だ。構造改革を進めても黒字が定着しない。18年1―3月期には低迷を受け、固定費で313億円の減損損失を計上。通期で営業赤字に転じた。

 19年3月期もスマホ販売台数を同26%減の1000万台と予想。150億円の営業赤字を見込む。十時CFOは「第5世代通信(5G)技術はあらゆる機器に入り、大きな果実をもたらす可能性がある」と、同分野に力を注ぐことを宣言。「経営チームの総意だ」とし、事業撤退について否定した。「1000万台の販売台数でも利益を創出できる施策を考えている」(十時CFO)。

 半導体事業も研究開発費用などがかさみ、減益を予想。スマホ市場の成長鈍化もリスク要因だ。ただし「短期的には伸び率が低下するかもしれないが、車やFAなどは中長期的に伸びる」(同)。増産に向け、画像センサーに1300億円を投じる計画だ。

5月22日には、新中計を発表する。吉田社長は就任時「守る所は守り、攻める所は攻める」と宣言した。ソニーを真の成長路線に乗せられるか。18年度がその一歩となる。
                         
政年佐貴惠
政年佐貴惠 Masatoshi Sakie 名古屋支社編集部 記者
300億円超の減損は大きいが、モバイル事業の先行きをきちんと評価した結果だとも言える。モバイルの減損のタイミングはもう少し早くてもよかったのでは、という思いはあるものの、16年度に実施した映画事業の1000億円を超える巨額減損も含め、最近のソニーは事業性の評価がきちんとできてきている印象がある。「通信技術は次世代の全ての事業に不可欠」とは、前・平井一夫社長時代からの方針。先行きが注目される。

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