"紙の兄弟”、製紙会社の成長をスケッチする!

CNF、実用化近づく

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昨年稼働した世界最大規模のCNF量産設備(日本製紙・石巻工場)
 次世代バイオマス素材のセルロースナノファイバー(CNF)は、紙原料のパルプをナノメートルサイズ(ナノは10億分の1)まで細かく細かく解きほぐしたもの。いわば紙の〈兄弟〉だ。この兄弟が軽量で高い強度を持つ最先端素材として、実用化が近づいている。製紙会社の成長の道となれるか。

 製紙原料に使われるパルプは、CNFが同士が強力な水素結合で結びついて束になっている。化学薬品を加えて結合をゆるめて束をほぐしやすくし、砥石などで押しつぶす機械的な力を加えると、最も細い繊維になる。その直径は髪の毛の1万分の1、3ナノ―4ナノメートルしかない。同じ体積の時の重さは鉄鋼の5分の1。それでいて、曲げたときに鉄鋼と同等の強さがある。

 プラスチックに練り込んで強度を高めたり、シート状にして酸素を遮断するガスバリアー性を持たせたりもできる。消臭機能などを持たせる添加剤として使われてきたが、今注目を集めるのは強度などの新たな機能。いよいよ研究・開発フェーズから、量産体制の整備へと踏み出した。

 どうやってCNFを作るかは、メーカーによって違う。王子ホールディングスや日本製紙、第一工業製薬は、化学薬品で処理した後に機械的な力を加える手法。

 大王製紙や中越パルプ工業、スギノマシンなどは化学薬品を使わない、機械的な処理だけの手法で事業化を進める。化学薬品を使うと究極に細い繊維に、使わなければそれより少し太めの繊維径数十ナノ―数百ナノメートルの微細な束になる。

 王子HDは2016年末に、年産能力40トンの生産設備を稼働させ、140社にサンプル提供している。薄膜ガラスの代替を狙った透明シートの量産設備も立ち上げた。

 日本製紙は年産30トンの実証生産設備では足りず、17年4月には石巻工場(宮城県石巻市)で世界最大級となる同500トンのCNF量産設備を稼働した。さらに用途開発を進めるため、用途別の生産設備も立ち上げた。その他の企業も中規模の設備を立ち上げ、事業拡大をにらむ。

 産学官コンソーシアム「ナノセルロースフォーラム」(事務局=産業技術総合研究所)設立を主導した経済産業省は、CNFで2030年までに1兆円規模の新市場創成を目指す。官民をあげて事業化を加速させる。

COMMENT

梶原洵子
編集局第二産業部
記者

CNFは長い間、次世代素材として期待されていました。大学時代に木や紙関係の研究をしていたので、利用が広がればうれしいです。プラスチックを強化する他の添加剤との違いが気になります。

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