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“まる見え”三角コーンでテロを抑止する

グリーンクロスがイベント会社向けなどに展開
“まる見え”三角コーンでテロを抑止する

透明なことで内部の視認が可能となった「まる見えコーン」

 スポーツ大会やイベント会場など、人が集まる場での誘導や規制に使われる三角コーン。赤や緑など人目を引く色のものが一般的に使われる。ただ、内部が見えないことで危険物が置かれるといったテロの懸念材料となり、運営者の悩みの種となっている。

 グリーンクロスが開発した「まる見えコーン」は内部が見える透明な三角コーン。「クリアーなだけにあらゆるものが目立つ」(古賀理史営業開発部次長)ことが開発のハードルとなった。

 屋外に置かれることが多い製品であり、紫外線(UV)や風雨が劣化や変色につながる。色の付いた三角コーンでは気付きにくい変化も、透明だと「目立つ」要因となった。加えて、金型に材料のポリ塩化ビニール(PVC)を流し込んでできる試作品では、ムラや気泡が見えてしまうことも課題となった。

 製品化のカギとなったのは、PVCに対するUV吸収剤と可塑剤の配合比率。紫外線の影響をUV吸収剤で抑えつつ、可塑剤により三角コーン特有の軟らかさを求めた。材料を流し込む温度や方法も製品を均質に保つように工夫した。

 製品には同社の主力である工事用保安用品の開発ノウハウが生かされた。レンタルでの利用も多く「悪条件での利用の想定が製品開発のテーマ」(古賀次長)。それだけに、まる見えコーンも劣化や耐久性を求めることになった。軟質でありながらも、折り曲げた際に負荷がかかる部分が白化する現象を抑えたのも特徴の一つだ。

 透明なことでテロを抑止する以外のメリットもある。例えば、マラソン大会では数千本の三角コーンが使われ、内部に不審物がないか一つずつ持ち上げての確認には労力を要する。目視でのチェックで済む分、運営側の負担が減らせる。
日刊工業新聞2018年4月26日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
2017年10月の発売以降、イベント会社や自治体などが関心を寄せている。同社はレンタル需要を中心に、製品の普及につなげていく。 (日刊工業新聞社西部支社・高田圭介)

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