5期連続増益のディスコ、生産強化でまだまだ攻める

 半導体需要が長期的に拡大し続ける「スーパーサイクル」に入ったとの見方が強まる中、ディスコの関家一馬社長は「消耗品の完全バックアップ体制を作る」と力を込める。その主役となるのは、4月1日付で子会社からディスコが直接運営する体制に改めた茅野工場(長野県茅野市)。約140億円を投じ、半導体の製造で使う消耗品などを生産する新棟を建設する方針を固めた。

 同社は半導体ウエハーを切ったり、削ったり、研磨したりする装置や、それらの装置で使う消耗品の製造などを手がける。そうした製品は半導体の組み立て・検査をする後工程で主に使われている。

 関家社長は「広島の2工場が機能しなくなった場合のことを考えておく必要がある」と、BCM(事業継続マネジメント)を強化する意義を説明する。25年までに呉市の2工場と茅野工場で、消耗品の生産割合を2対1にする。

 何らかの原因で広島の2工場が停止した場合でも、茅野工場を1日8時間稼働の体制から24時間体制にすることで「100%カバーできる状態になる」(関家社長)計算だ。

 これまで消耗品の生産は、呉工場(広島県呉市)と桑畑工場(同)が担ってきた。今後は市況を見ながら2018年度内に新棟の建設を最終判断した上で、19年度に着工し、21年にも本格生産を始める。また茅野工場の人員体制は約180人だが、将来は現在の広島県内の2工場と同程度の1000人規模へ増強する考え。

 そのほか同社の工場では、生産性を高める取り組みが進む。次世代無線通信規格「ブルートゥース・ローエナジー」で従業員が持つスマートフォンと通信し、人などの位置を把握する米アップルの「iBeacon(アイビーコン)」を、4月に広島の2工場で生産管理に導入した。

 従来は製造原価を把握するため、各工程での作業時間を作業者が申告する必要があった。アイビーコンを使えば申告の手間を省き作業を効率化できることから、関家社長は「年間2000万―3000万円の(人件費の)コストダウンになるのでは」と話す。

 アイビーコンは3年前に東京都大田区の本社へ初めて導入し、人や備品の所在などを把握するために使っていた。活用範囲を工場にも拡大し、呉工場に約600個、桑畑工場に約1000個設置した。いずれは茅野工場でもアイビーコンを展開し、さらに生産性を向上させる考えだ。
(文=福沢尚季)

(2018年4月20日)

政年 佐貴惠

政年 佐貴惠
04月22日
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半導体製造の中でも「切る・削る・磨く」に特化しトップシェアを誇るディスコは、IoT時代になりチップの数が増えれば増えるほど成長が見込める。この2年ほど増産対応を積極的に進めており、今後も成長に向けた攻めの投資が見込まれそうだ。特徴的なのは同社の福利厚生。独自の社内通貨を作り本社にはプールやジムを備えるなど、さまざまな取り組みをしている。広島・桑畑工場で建設中の新棟の屋上には、顧客や社員が利用できる宿泊施設の建設も決めた。こういった施策と社員のモチベーション、業績などがどう関連しているかも興味深い。

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